コク(ボディ)
甘み・コク
コク(ボディ)は、味の種類ではなく、口に含んだときの重量感や粘性を指す言葉です。
どんな味?
口に含んだときの重量感、粘性、舌に残る厚みのことです。苦みや酸味のような味の種類ではなく、液体の感触の軸です。動画の「バリスタはやたろうのコーヒーチャンネル」は、口当たり全体(マウスフィール)のうち液体の重さだけを指すのがボディで、日本語の「コク」は濃度感からくる味の奥行きと別に説明しています。焙煎所の動画(珈琲豆 山倉)も、専門書が「コク」を味の複雑さや濃さにつながる感覚と書いていると紹介しています。
どこから来るか
抽出液の総固形分が多いほど、厚みを感じやすい傾向があります。エスプレッソ・フレンチプレス・フィルターなど9通りの抽出を比べた2013年の研究で、総固形分と食感・ボディに正の相関が出ました。豆の脂質に含まれるカフェストールの1995年の分析では、1杯あたりフレンチプレスが平均3.5 mg、エスプレッソが1.5 mgで、ドリップ濾過はごく少量でした。
調整の仕方
厚くしたいなら、まず濃さを上げます。粉を多め・湯を少なめにする、挽きを細かくする、軽くしたいなら逆です。UC Davis のドリップの実験では、濃さ(TDS)と抽出率を変えると、厚み(thickness)の評価が3つの焙煎度すべてで変わりました。ただし同じ動画は、濃すぎると強い味が弱い味を隠し、コクを感じにくくなると話しています。
出典
- 論文・英語 Gloess AN, Schönbächler B, Klopprogge B, D'Ambrosio L, Chatelain K, Bongartz A, Strittmatter A, Rast M, Yeretzian C(2013) Comparison of nine common coffee extraction methods: instrumental and sensory analysis
- 論文・英語 Frost SC, Ristenpart WD, Guinard JX(カリフォルニア大学デイビス校)(2020) Effects of brew strength, brew yield, and roast on the sensory quality of drip brewed coffee
- 論文・英語 Urgert R, van der Weg G, Kosmeijer-Schuil TG, van de Bovenkamp P, Hovenier R, Katan MB(1995) Levels of the cholesterol-elevating diterpenes cafestol and kahweol in various coffee brews
- 論文・英語 Novaes FJM, da Silva MAE, Silva DC, Aquino Neto FR, Rezende CM(2023) Extraction of Diterpene-Phytochemicals in Raw and Roasted Coffee Beans and Beverage Preparations and Their Relationship
- 動画 バリスタはやたろうのコーヒーチャンネル コーヒーの味の表現まとめ【基礎知識】【雑味?コク?クリーンカップ?なにそれ】
- 動画 珈琲豆 山倉(旧KONA SNOW Coffee Roasters) 【コクとは?】珈琲スペシャリスト達が考える「コク」の定義を紹介・解説/「濃さ・複雑さ」
解説動画: 【コクとは?】珈琲スペシャリスト達が考える「コク」の定義を紹介・解説/「濃さ・複雑さ」/珈琲豆 山倉(旧KONA SNOW Coffee Roasters)
コクは分かりにくい: 苦みや酸味はすぐ感じ取れるのに対し、コクはつかみどころがない—— それが出発点。ただし定義を知っておくと、コクがあるかないかを聞き分けられるようになるという立場で解説している。
専門家の定義を引く: 『コーヒーのおいしさの方程式』(田口護・旦部幸博)に書かれたコクの定義を紹介している。田口護は東京の老舗コーヒー店の店主で日本のコーヒーを牽引してきた人物、旦部幸博は大学で研究をしている人物、という背景も添えられている。
濃さと複雑さ: 動画で扱われるコクの捉え方の軸が「濃さ」と「複雑さ」。後半では、実際に飲んできた中で「これはコクがある」と感じた豆を挙げながら、その基準を具体化していく構成になっている。