渋み
苦み・渋み
渋みは、味覚ではなく、口の中の粘膜が収れんする触覚のことです。
どんな味?
渋みは厳密には味覚ではなく、口の中の粘膜が収れんする触覚です。渋柿を食べたときの、舌がざらつく感じ。緑茶と紅茶では、この渋みが味の重要な一部でもあります。Lance Hedrick(コーヒーの動画チャンネル)は、コーヒーでも渋みが苦みと混同されがちですが、苦みは味、渋みは物理的な感覚で別のものだと説明しています。
どこから来るか
茶の渋みは主にカテキンに由来し、最も多い EGCG は渋みが強い成分です。武漢の大学のチームは、ガロイル基を持つ EGCG は唾液のたんぱく質の凝集を促して強い渋みに、持たない EGC は弱い渋みになると、実験とシミュレーションで示しました。コーヒーでは、オハイオ州立大学の2025年の研究が、フェノールに富むメラノイジンの画分に、コーヒーに含まれる濃さで渋みがあることを確かめています。
調整の仕方
茶は湯温を低く。宇治茶の事務局(京都府)は、日本茶の淹れ方で、湯が低温のほうがうま味のアミノ酸が多く渋み・苦みが少ないと案内しています。コーヒーは抽出を欲張らない。Lance Hedrick は、浅煎りでは抽出を進めるとすぐ渋くなった自分の経験から、渋いときはまず抽出を控えるよう勧めています。深煎りでは、渋みと思ったものが苦みだったこともあると話しています。
出典
- 動画・英語 Lance Hedrick Think Your Coffee Is Bitter? It Might Be Astringent (Here’s the Fix)
- 論文・英語 Linne BM, Tello E, Simons CT, Peterson DG(2025) Chemical characterization and sensory evaluation of a phenolic-rich melanoidin isolate contributing to coffee astringency
- 論文・英語 Zhou Z, Huang Q, Shen W, Jin W, Yang G, Huang W, Guo C(2025) Effects of galloyl group on the astringency perception of epigallocatechin gallate and epigallocatechin
- 公的機関 宇治茶世界文化遺産登録推進プラットフォーム事務局(京都府農林水産部内) お茶のおいしい淹れ方
解説動画: ティーバッグの紅茶で渋みを出しすぎない淹れ方/Miiのお茶会チャンネル
同じティーバッグでここまで変わる: ポイントを押さえて淹れた紅茶と、やりがちなNGを重ねて淹れた紅茶を並べて飲み比べている。前者は水色が澄んで香りがふわりと広がり、程よい渋みがあって深い味わいになる。後者は水色が濁り、香り高さがなく、強い渋みやえぐみが出る。同じティーバッグとは思えない差になると説明している。
渋みを荒らすやりがちなミス: ティーバッグを何度も振ると茶葉の細かい粉が落ち、水色が濁って余計な渋みが出る。スプーンで押しつぶすのも、えぐみと雑味を引き出すので避けるよう言っている。入れっぱなしにしても渋くなりすぎるので、時間を計り、取り出すときは前後に数回ゆらしてから静かに引き上げるのを勧めている。
水で渋みの出方が変わる: 紅茶は硬水より軟水が向くとされる理由として、タンニンがカルシウムなどのミネラルと結びつくと水色が濁り、香りが弱くなり、渋みやコクが出にくくなることを挙げている。汲み置きの水道水や沸かし直した湯はカルシウム濃度が上がって硬水寄りになる。汲みたての水を勢いよく注いで空気を含ませ、しっかり沸騰させて使う。
渋くなりすぎたときの手当て: うっかり取り出し忘れて渋くなってしまった場合は、差し湯で薄めるか、ミルクを入れてミルクティーにしてしまってもよいとしている。またピラミッド型のティーバッグは湯に入れる前に形を整えておくと、茶葉のアクが頂点に集まって雑味が抑えられるとも述べている。