花のような香り(フローラル)
香り
花のような香り(フローラル)は、コーヒーや茶に感じる、花や香水を思わせる軽くて上に抜ける香りです。
どんな味?
コーヒーや茶に感じる花や香水を思わせる、軽くて上に抜ける香りです。ゲイシャ種やエチオピアの浅煎り、ダージリンのファーストフラッシュ、鉄観音などに強く出ます。コーヒーの風味110属性を整理した World Coffee Research の官能語彙(カンザス州立大学が作成)には、参照物質のある24属性の中に「フローラル」と「ジャスミン」が入っています。
どこから来るか
リナロールやゲラニオールなど、花の印象に関わる揮発性の成分が鍵で、熱と時間で失われやすいものです。パナマ産ゲイシャを、同じ焙煎色になる5通りの焙煎法で比べた米国の研究では、花の印象が強い2通りでリナロール・ゲラニオールなど花の成分が最多でした。ただし量と印象は単純には比例しませんでした。福建農林大学のチームによる高地の烏龍茶の研究でも、ゲラニオールとリナロールが花・果実の香りと結びついていました。
調整の仕方
紙で濾す(V60・エアロプレス)と花を思わせる成分の割合が高く、金属フィルターでは果実・焙煎に関わる成分が多かったという、ケニア産の中煎り1種での研究があります。濃度と飲む温度をそろえた実験では、水出しのほうが3産地・3焙煎度のどれでも花の風味が強くなりました。Lance Hedrick は、水洗式の豆を V60 で淹れるとジャスミンやカモミールが分かれて感じやすいと話しています。
出典
- 動画・英語 Lance Hedrick HOW TO TASTE COFFEE: A Lexicon for Coffee Lovers
- 資料・英語 World Coffee Research(カンザス州立大学 Sensory Analysis Center が作成) Sensory Lexicon
- 論文・英語 Koyner V, Fryer J, Tello-Camacho E, Peterson D, Tomasino E(2025) Characterizing Panama Geisha coffee aromas: sensory and chemical analysis across roasting methods
- 論文・英語 Batali ME, Lim LX, Liang J, Yeager SE, Thompson AN, Han J, Ristenpart WD, Guinard JX(2022) Sensory Analysis of Full Immersion Coffee: Cold Brew Is More Floral, and Less Bitter, Sour, and Rubbery Than Hot Brew
- 論文・英語 Santanatoglia A, Alessandroni L, Fioretti L, Sagratini G, Vittori S, Maggi F, Caprioli G(2023) Discrimination of Filter Coffee Extraction Methods of a Medium Roasted Specialty Coffee Based on Volatile Profiles and Sensorial Traits
- 論文・英語 Zhang W, Li Y, Shao S, Yao X, Zhou C, Wang Z, Guo Y(2026) Effects of Optimized Key Processing Parameters on Macro-Compositions and Volatile Organic Compounds in High-Altitude Oolong Tea (Camellia sinensis (L.) O. Kuntze)
解説動画: コーヒーの華やかな香りを言葉にする飲み比べ練習/川野優馬のコーヒーチャンネル
華やかという言葉をつかむために: 香りや味の記憶は日が経つほど曖昧になるので、言葉に置き換えて初めて覚えられるという立場で話を進めている。華やかで花のような香り、余韻が甘い、といった表現を自分で持てるようになると、昨日のものと今日のものを比べられるようになり、自分が何をいいと思ったのかがはっきりしてくるとしている。
同時に飲み比べる: 時間をあけて別々に飲むと記憶が曖昧になり、違いを言葉にしにくい。フレンチプレスを2つ用意し、2種類を同時に淹れて同時に飲むのが勧められている練習法で、粉の16倍の湯を注いで4分待つだけなので淹れ手の技術差が混ざらない。まずはどちらが好きかだけで飲み、そのうえで酸味・透明感・甘さ・香りの4点に絞って比べていく。
香りは冷める途中でつかむ: 熱々の状態ではどうしても味が分かりにくいと言っている。人肌くらいまで冷ましながらゆっくり飲むほうが感じ取りやすく、全体の香りの方向性や何かに例えられるかどうかは、冷めてくるほどつかみやすくなるとしている。
例えの引き出しを増やすコツ: 飲み比べたルワンダの豆は華やかで軽やかで、液体を鼻に近づけた段階から茶葉のような香りがあり、飲み込んだ後に残る感じが紅茶そのものだと表現している。豆のカードやパッケージに書かれた表現と照らし合わせ、一つでも当たれば自分の引き出しになる—— 全部が分からなくてよい、という進め方。