チョコレート・ナッツの風味
甘み・コク
チョコレート・ナッツの風味は、カカオやアーモンド、キャラメルを思わせる、重心の低い甘い香りです。
どんな味?
カカオ、アーモンド、キャラメル、焼いたパンを思わせる、重心の低い甘い香りです。北京の大学のチームが市販のコーヒー4産地(コロンビア・ベンチマジ・イルガチェフェ・保山)を分析した研究では、コロンビアはチョコレートとナッツの特徴が際立ち、イルガチェフェは焙煎香、保山はキャラメルが目立ちました。袋の風味表記は、香料を足したフレーバードコーヒーとは別、と焙煎所 FreshGround Roasting は話します。
どこから来るか
焙煎の熱で起きるメイラード反応が香ばしさの元です。レバノン・フランスの研究者らの総説は、アミノ基などが還元糖のカルボニル基と反応するもので、温度・時間・水分活性・pH で進み方が変わり、加熱食品の香りや色を作ると整理しています。先の4産地の分析では、フラン類・ケトン類・ピラジン類が、焙煎・ナッツ・キャラメルの香りに主に関わっていました。
調整の仕方
焙煎が深めの豆を選ぶのが近道です。水出しコーヒーを浅・中・深煎りで比べた上海の研究では、深いほどナッツの風味・苦み・渋み・ボディ・後味が強まり、花・果実・酸味は弱まりました。濃さと抽出率をそろえたドリップの実験(UC Davis)では、87〜93℃で湯温は感覚の差を出さなかったので、湯温より豆選びが先です。
出典
- 論文・英語 Chen X, Wu P, Wang S, Sun J, Chen H(北京工商大学)(2025) Identification of Key Aroma-Active Compounds in Commercial Coffee Using GC-O/AEDA and OAV Analysis
- 論文・英語 El Hosry L, Elias V, Chamoun V, Halawi M, Cayot P, Nehme A, Bou-Maroun E(2025) Maillard Reaction: Mechanism, Influencing Parameters, Advantages, Disadvantages, and Food Industrial Applications: A Review
- 論文・英語 Shi Q, Xiao Y, Zhou Y, Tang W, Jiang F, Zhou X, Lu H(Shanghai Institute of Technology ほか)(2024) Comparison of Ultra-High-Pressure and Conventional Cold Brew Coffee at Different Roasting Degrees: Physicochemical Characteristics and Volatile and Non-Volatile Components
- 論文・英語 Batali ME, Ristenpart WD, Guinard JX(カリフォルニア大学デイビス校)(2020) Brew temperature, at fixed brew strength and extraction, has little impact on the sensory profile of drip brew coffee
- 動画・英語 FreshGround Roasting Flavor Notes Versus Flavored Coffee
解説動画: 同じ豆を5段階の焙煎度で淹れ比べた味の変化//岩崎泰三 -Coffee Journalist Taizo Iwasaki -
同じ豆を5段階の焙煎で比べる: 浅煎り・深煎りという言葉は店ごとに指すものが違って共通の認識を持ちにくい、という前置きから、ミディアム・ハイ・シティ・フルシティ・フレンチの5段階に呼び分けて比べていく。同じ豆を25gずつ、湯温90度で、すべて同じ速度で抽出し、焙煎の違いだけが浮かび上がるようにしている。
焙煎度はハゼで見分ける: 色だけでは判断しづらく、ハゼがどこまで進んだかがいちばん共通の目安になるとしている。1ハゼの最中で止めたのがミディアム、1ハゼが終わって豆の表面のシワが伸びてくるのがハイ、2ハゼに入った瞬間がシティ、2ハゼのピーク手前がフルシティ、ピークを過ぎたあたりがフレンチ。
焙煎度ごとの味の違い: 浅いミディアムは華やかで柑橘っぽく、レモンを絞ったような、ジャスミンティーのような軽やかさ。ハイになると爽やかで繊細なところに少し甘みが加わる。シティが日本でいちばんスタンダードな焙煎度で、フルシティでは液体の6割ほどを苦味が占めると言い、コーヒーらしいしっかりした味になると表現している。
深いほうは秒単位で決まる: ミディアムからフレンチまで、焙煎時間の差は数分しかない。シティからフルシティは30秒ほど、フルシティからフレンチは20秒ほどで、ここが焙煎する側の設計の見せどころだと言っている。いちばん深いフレンチは苦味が舌の上をコーティングして丸く感じられるが、実態としては苦味とコクがしっかりあるとしている。