チョコレート・ナッツの風味
甘み・コク
「香ばしい」の中身を分解すると、これ
どんな味?
カカオ、アーモンド、キャラメル、焼いたパンを思わせる、重心の低い甘い香りです。ブラジルやグアテマラの中深煎り、深煎り全般に出ます。日本で「コーヒーらしい」と感じられてきたのは主にこの系統です。
どこから来るか
焙煎中のメイラード反応とカラメル化で生まれます。豆に元からあるのではなく、火を入れることで作られる香りです。パンを焼く、肉に焼き色を付ける、玉ねぎを飴色に炒める—— すべて同じ反応です。
調整の仕方
中深煎り以上の豆を選ぶのが第一で、浅煎りからは出せません。湯温を高めに、やや細かく挽くと、この方向の香りが前に出ます。ミルクと合わせても消えないので、ラテやカフェオレにするならこの系統の豆が向きます。
解説動画: 同じ豆を5段階の焙煎度で淹れ比べた味の変化//岩崎泰三 -Coffee Journalist Taizo Iwasaki -
同じ豆を5段階の焙煎で比べる: 浅煎り・深煎りという言葉は店ごとに指すものが違って共通の認識を持ちにくい、という前置きから、ミディアム・ハイ・シティ・フルシティ・フレンチの5段階に呼び分けて比べていく。同じ豆を25gずつ、湯温90度で、すべて同じ速度で抽出し、焙煎の違いだけが浮かび上がるようにしている。
焙煎度はハゼで見分ける: 色だけでは判断しづらく、ハゼがどこまで進んだかがいちばん共通の目安になるとしている。1ハゼの最中で止めたのがミディアム、1ハゼが終わって豆の表面のシワが伸びてくるのがハイ、2ハゼに入った瞬間がシティ、2ハゼのピーク手前がフルシティ、ピークを過ぎたあたりがフレンチ。
焙煎度ごとの味の違い: 浅いミディアムは華やかで柑橘っぽく、レモンを絞ったような、ジャスミンティーのような軽やかさ。ハイになると爽やかで繊細なところに少し甘みが加わる。シティが日本でいちばんスタンダードな焙煎度で、フルシティでは液体の6割ほどを苦味が占めると言い、コーヒーらしいしっかりした味になると表現している。
深いほうは秒単位で決まる: ミディアムからフレンチまで、焙煎時間の差は数分しかない。シティからフルシティは30秒ほど、フルシティからフレンチは20秒ほどで、ここが焙煎する側の設計の見せどころだと言っている。いちばん深いフレンチは苦味が舌の上をコーティングして丸く感じられるが、実態としては苦味とコクがしっかりあるとしている。