苦み

苦み・渋み

苦みは、主にクロロゲン酸から焙煎で生まれるラクトン類による味で、質が焙煎の深さで変わります。

どんな味?

苦みに大きく関わるのは、焙煎でクロロゲン酸から生まれるラクトン類(キニド)です。焙煎したコーヒー液を味で追って分けた Frank らの2006年の研究が特定し、水中で苦みを感じる濃さは物質ごとに 9.8〜180 μmol/L と開きました。感じ方にも個人差があり、英国の最大約44万人の解析では、遺伝的にカフェインの苦みを強く感じやすい人ほどコーヒーを多く飲む関連が出ました。

どこから来るか

浅〜中煎りではキニド類が増え、コーヒーらしい苦みを作ります。焙煎が進むとそれが分解し、きつい苦みの4-ビニルカテコールのオリゴマーに変わりました。ミュンヘン工科大学のチームが、焙煎の温度と時間を変えた豆の抽出液で確かめています。抽出では、ジカフェオイルキニドはゆっくり溶け出し、オリゴマーの一部は粉に強く残りました。

調整の仕方

まず濃さを疑います。TETSU KASUYA は、同じ豆でも濃さ(TDS)が1.3と1.7と違うだけで嫌な苦みや酸味が出ると話し、湯で薄めるよう勧めます。UC Davis の実験では、濃さと抽出率をそろえたドリップで87〜93℃の湯温は差を出さず、濃さと飲む温度をそろえた水出し(4・22℃)は92℃の抽出より苦みが弱くなりました。

出典

  1. 論文・英語 Frank O, Zehentbauer G, Hofmann T(2006) Bioresponse-guided decomposition of roast coffee beverage and identification of key bitter taste compounds
  2. 論文・英語 Blumberg S, Frank O, Hofmann T(ミュンヘン工科大学)(2010) Quantitative studies on the influence of the bean roasting parameters and hot water percolation on the concentrations of bitter compounds in coffee brew
  3. 論文・英語 Ong JS, Hwang LD, Zhong VW, An J, Gharahkhani P, Breslin PAS, Wright MJ, Lawlor DA, Whitfield J, MacGregor S, Martin NG, Cornelis MC(2018) Understanding the role of bitter taste perception in coffee, tea and alcohol consumption through Mendelian randomization
  4. 論文・英語 Batali ME, Ristenpart WD, Guinard JX(カリフォルニア大学デイビス校)(2020) Brew temperature, at fixed brew strength and extraction, has little impact on the sensory profile of drip brew coffee
  5. 論文・英語 Batali ME, Lim LX, Liang J, Yeager SE, Thompson AN, Han J, Ristenpart WD, Guinard JX(カリフォルニア大学デイビス校)(2022) Sensory Analysis of Full Immersion Coffee: Cold Brew Is More Floral, and Less Bitter, Sour, and Rubbery Than Hot Brew
  6. 動画 TETSU KASUYA World Brewers Cup Champion 【必見】あなたの淹れたコーヒーが「おいしくない理由」とスグに試せる解決策!

解説動画: カフェインだけではないコーヒーの苦みと焙煎度の関係/UCCコーヒーアカデミー

苦みの正体はカフェインではない: コーヒーが苦いのはカフェインが多いからだと思われがちだが、苦みにカフェインが影響しているのは約10%ほどで、残りの90%は別の要因だと説明している。カフェイン自体は単体で口にすればはっきり苦いものの、それだけであの苦さが説明できるわけではない、というところから話が始まる。

苦みは焙煎中に生まれる: では何が苦みを作っているのか。生豆を加熱していくとメイラード反応が起こり、色が変わるだけでなく香りや酸味、そして苦みが生まれてくると説明している。もう一つカラメル化という反応もあり、砂糖を煮詰めると甘い香りが強くなって色が濃くなっていくのと同じことが、焙煎中の豆でも起きている。色がついていくほど苦みの成分は増えていく。

焙煎の進み具合で苦みの質が変わる: 同じ苦みでも、どこまで焙煎を進めたかで中身が違う。手前で止めた段階ではクロロゲン酸ラクトンという成分による、香ばしく心地よい苦みになる。そこからさらに進むと香ばしさを通り越して焦げた、ピリッとくる苦みに移り、ビニルカテコールオリゴマーのような成分が増えていく。焙煎由来の苦みこそが苦み成分の中でいちばん影響が大きいとしている。

焙煎度とカフェイン量のやりがちな誤解: 焙煎度合いによってカフェインの量が変わると思っている人は多いが、焙煎の深さでカフェインの量は変わらないと否定している。深く煎ったコーヒーだからカフェインをたくさん摂っている、ということにはならず、浅煎りでも眠気覚ましにはなるという言い方をしている。焙煎度で変わるのはあくまで苦みの強さのほうだ、というのがこの回の締めくくり。