大谷石
材料と仕上げ
時代: 時代を通じて
淡い緑灰色の面に、茶色い斑点が散ります。栃木県宇都宮市大谷町の周辺で採れる軽石凝灰岩で、この斑点は「ミソ」と呼ばれます。
どんな材料・造作か
栃木県宇都宮市大谷町の周辺で採れる軽石凝灰岩で、火山灰と軽石が積もって固まった石です。のこぎりで挽けるほど軟らかく、花崗岩より軽いため、蔵の壁や塀、建物の腰から上まで幅広く使われました。淡い緑灰色の地に、「ミソ」と呼ばれる茶褐色の斑点が散るのが目印です。ミソは風化しやすい部分で、抜け落ちて小さな穴になり、そこから面の表情が少しずつ変わっていきます。切り出したままの面と、磨いた面とでは色の出方も違います。
見分けの決め手
面に散る茶色い斑点と、鋸で挽いた筋目の両方を見ます。ミソの大きさや数は採った層で違い、同じ建物でも一枚ごとに斑の出方が変わります。表面には鋸の目や、のみで叩いた粗い目が残ります。水を吸いやすいため雨のかかる面は黒ずみ、表層が薄く剥がれることがあります。栃木県宇都宮市のカトリック松が峰教会聖堂は、外も内も大谷石を積み上げた建物で、斑の見え方をまとめて追えます。積み方の目地も、石の大きさをそのまま示します。
いつ頃のものか
縄文時代の炉の石に使われ、下野国分寺跡(栃木)の礎石にも用いられた古い石です。建材として広い範囲へ出るのは近代で、1923年(大正12年)の旧帝国ホテル本館では、スクラッチタイルと組み合わせて壁と飾りに彫り込まれ、その中央玄関は愛知県犬山市の博物館明治村へ移されています。栃木県宇都宮市のカトリック松が峰教会聖堂は1932年(昭和7年)の完成で、近代の使い方がまとまって残ります。産地と時代の幅が、そのまま用途の幅です。
取り違えやすい相手
ほかの凝灰岩が相手で、千葉の房州石、静岡の伊豆石、北海道の札幌軟石は、色も産地も違います。茶色いミソが散っているかが、いちばん早い手がかりです。コンクリートブロックとは寸法が規格で揃い、目地が均一に通るかで分け、人造石洗い出しとは角の納まりで分けます。塗り物のほうは、隅に石どうしの合わせ目が出ません。産地の違う凝灰岩は、斑の代わりに黒い粒や縞が出ることがあります。手前の一枚だけでなく、数枚を見比べます。