打放しコンクリート
材料と仕上げ
時代: 明治以降
型枠を外した面を、そのまま仕上げとします。杉板か合板かで肌が変わり、型枠を締めた金物の跡が壁に等間隔で並びます。
どんな材料・造作か
型枠を外した面に塗装も張り物もせず、そのまま仕上げとする作りです。型枠の内側に当てた材が肌に写るので、杉板なら木目と板の継ぎ目、合板なら平滑な面になります。壁の中には型枠の間隔を保つセパレーターが通り、その端を埋めた跡が等間隔の丸い穴として残ります。塗り直しのきかない仕上げなので、配筋から打ち込みの手順まで、作業の質がそのまま面に出ます。打ち込みの継ぎ目は後から隠せず、打つ日ごとに、同じ配合でも色が変わります。
見分けの決め手
壁面の丸い穴の並びと、水平に走る打継ぎ目を目で数えます。合板の型枠は幅910mm・長さ1820mmの板を並べるため、穴と継ぎ目がその割りに沿って現れます。杉板の型枠なら板一枚ごとの木目と縁の段差が面に残ります。広島の広島平和記念資料館は柱と梁の面で、香川の香川県庁舎東館は細い部材の面で、型枠の跡の出方を読み取れます。穴の並びが乱れていれば、後の補修の跡を疑います。光が斜めに当たる時間なら、凹凸がよく浮きます。
いつ頃のものか
1920年代の試みから始まり、戦後の公共建築で広まりました。アントニン・レーモンドが東京に建てた自邸は1924年(大正13年)で、日本の早い例に挙げられます。広島の広島平和記念資料館は1955年(昭和30年)、香川の香川県庁舎東館は1958年(昭和33年)の完成で、いずれも国の重要文化財です。DOCOMOMO Japanの選定にも、この時期の作品が多く並びます。戦前と戦後では、型枠に使える材そのものが違いました。
取り違えやすい相手
打放しに似せて塗った塗装や吹き付けが相手です。セパレーターの跡が実際に凹んでいるか、模様として描かれているかを、斜めから光の当たる時間に見ます。モルタルの刷毛引きや人造石洗い出しといった塗り物は、刷毛や鏝の筋が一方向に流れ、板の割りとは合いません。コンクリートブロック積みは長さ390mm・高さ190mmの目地が通り、面の分かれ方そのものが違います。ブロックは中が空洞で、目地は積み上げの段ごとに通ります。