現存天守

天守の形

時代: 江戸

江戸期までの建物が、そのまま伝わっている天守です。国宝が5件と重要文化財が7件の合わせて12件で、数え方の前提を置いたうえでの数になります。

何のためのものか

江戸期までに建てられた天守が、建物としてそのまま残っているものを指します。国宝5件、重要文化財7件の12件で、長野県の松本城天守、兵庫県の姫路城大天守、島根県の松江城天守、愛知県の犬山城天守、滋賀県の彦根城天守が国宝にあたります。数は「何を天守と数えるか」の前提で動き、櫓として建てられた建物を天守に含めた結果が12件です。

見分けの決め手

窓と出入口の造作を見ます。木造の天守では窓は木の格子や板戸で、壁は柱を塗り込めるか、下見板を張るかのどちらかです。金属サッシの窓、最上階を一周する金属の手すり、地上階に開く広い鉄扉は、鉄筋コンクリートの再建に付くものです。屋根の反りも手掛かりで、木造では垂木の並びに沿って反りが一様になりません。岡山県の備中松山城天守、高知県の高知城天守が木造の例です。

いつ頃のものか

1600年前後から1800年代半ばまで幅があります。長野県の松本城天守は1590年代、兵庫県の姫路城大天守は1609年、愛媛県の伊予松山城天守は1854年(安政元年)と、同じ12件の中で250年以上の開きがあります。古い順に並べて優劣を言うためのくくりではなく、それぞれが建てられた時期の技術と制度を映した12件です。島根県の松江城天守は2015年に国宝へ指定されており、指定された時期と建てられた年代は別に見ます。

取り違えやすい相手

鉄筋コンクリートの外観復元天守と見分けが付きにくくなります。外観を史料に沿わせているため、遠目では区別できません。近づいて、窓の建具と出入口の位置を確かめます。熊本県の熊本城天守、愛知県の名古屋城天守は失われた後の再建で、木造復元・外観復元・復興・模擬では拠りどころにした史料の量が違います。静岡県の掛川城天守は、木造での復元にあたります。

どこに立つと見えるか

まず遠くから全体の輪郭を見て、次に軒下と入口まで寄ります。輪郭だけでは再建との差が出ないためです。長野県の松本城は水堀越しに全体が入り、寄れば黒い下見板と木の窓が見えます。島根県の松江城天守は本丸へ入ってすぐ、石垣との取り合いまで一度に見え、岡山県の備中松山城天守は大手門跡の巨岩を取り込んだ石垣を過ぎた先に現れます。高知県の高知城天守は、本丸御殿と並ぶ姿が門を入った正面から見えます。