カルガモとマガモの雌

色と模様で迷う組

嘴の先だけが黄色ければカルガモです。マガモの雌の嘴は橙色の地に黒が混じり、先端だけが黄色く見えることはありません。顔の2本の黒い線の濃さも助けになります。

並べる2種

どちらも全長60cm前後の褐色のカモで、同じ池に並んで浮かびます。カルガモは雌雄がほとんど同じ地味な羽色で、一年を通して同じ水面にいて雛も連れます。マガモは雄だけが緑の頭になり、雌は褐色の地に黒い斑が並ぶ姿にとどまります。迷うのはこの褐色どうしで、体つきも大きさも近く、全身の色柄から入ると差が言葉になりません。並べるときは、体ではなく嘴の1点に絞ります。

決め手になる1点

嘴の色の分かれ方です。カルガモの嘴は黒く、先端だけが黄色く、境目が横一文字に切れます。マガモの雌は橙色の地に黒がにじむ形で、先だけが色を変えることはありません。補助になるのが顔で、過眼線と頬の線がカルガモでは太く濃く出て、二本線の顔に見えます。季節も同じ向きに効き、夏の池に残って雛を連れているのはカルガモの側です。浮かんでいる間も嘴は水の上に出ます。

その1点が使えない条件

両種が交雑した個体では、この決め手が中間になります。黒い嘴に橙がにじむ、先端の黄色が輪郭を失うといった型で、公園の池とお堀のように人の集まる水面では家禽との雑種も混じります。飛ばれたときの翼鏡も助けになりません。どちらも青紫に光るので、一瞬の飛翔では差になりません。曇りや逆光で嘴が黒くつぶれる日も同じで、朝夕の低い光では橙も黄も同じ暗い色に沈みます。

よくある取り違え

夏から初秋のマガモの繁殖羽とエクリプスです。この時期の雄は雌に似た褐色になりますが、嘴は黄色みを残します。そこを見ないまま数えると、雄の混じった群れを雌だけの群れとして書くことになります。逆にカルガモの群れに1羽混じったマガモを見落とす例も多く、群れは1羽ずつ嘴を確かめるほうが早く済みます。数が多い日ほど、まとめて1種と書きたくなるのが落とし穴です。

決められないときの引き下がり方

嘴が中間の型で、群れに雑種らしい個体が混じっているなら、そこで決めません。「カモの仲間、カルガモ型」と書き残すだけにして、種名の欄は空けておきます。公園の池とお堀のように通える場所なら、次に晴れた日の順光でもう一度見るほうが確かです。無理に埋めた記録より、決めなかった記録のほうが後から使えます。交雑の個体は翌年も同じ池にいることがあります。