バンとオオバン

色と模様で迷う組

額の板の色で分かれます。バンは赤、オオバンは白です。どちらも黒っぽいクイナの仲間で水に浮かぶ姿は似ていますが、嘴から額へ続く板の色は遠くからでも読めます。

並べる2種

同じ池に並ぶ2種で、まず体の大きさが違います。オオバンは全長約39cmで全身が黒灰色、バンは全長30cm前後で背に褐色みがあり、脇の白い線と尾の下の白が目につきます。使う場所も分かれ、バンはヨシの際を歩いて出入りし、オオバンは開けた水面で潜ります。公園の池とお堀では、岸沿いと真ん中とで見る位置が変わる2種です。声も違い、バンは短く鋭く鳴き、オオバンは高い声を水面越しに響かせます。

決め手になる1点

嘴から額へ続く板の色です。バンは赤い額板に、先が黄色い嘴、オオバンは嘴も額板も白で、黒い顔に白い面が張りついて見えます。この板は嘴の付け根から額へ続く硬い皮膚で、繁殖期には色が濃くなりますが、赤か白かという分かれ方そのものは季節で入れ替わりません。泳ぐ姿の頭だけが見えていても決まる1点です。板の形まで見えない距離でも、嘴の先が明るいか、顔ごと白いかで足ります。

その1点が使えない条件

幼鳥では額板の色がまだ出ていません。オオバンの幼鳥は顔から喉が汚れた白、バンの幼鳥は全体が褐色で嘴も暗く、赤も白も読めない状態で秋の池に浮かびます。泥をかぶった個体や、逆光で顔が黒くつぶれる場面も同じです。ここでは幼鳥として扱い、体の大きさと泳ぎ方へ移ります。親鳥が近くに浮いているなら、そちらの額を先に読みます。額板が色づくまでには時間がかかり、秋の池では成鳥と幼鳥が同じ群れに混じります。

よくある取り違え

黒くて泳ぐ鳥をひとまとめにして、カイツブリやカワウと並べてしまう取り違えです。オオバンは指に水かきの弁がついた足で潜り、水草をくわえて浮上します。数の動きも違い、環境省・日本自然保護協会「全国鳥類繁殖分布調査」ではオオバンの分布が広がったことが示され、秋冬に増える地域があります。去年いなかったから別の鳥だと決める前に、額を見ます。

決められないときの引き下がり方

額板の色が読めないなら、そこまでにするのが正直な線です。「クイナの仲間、額板は不明」と記録して種名を空ける形にします。後から写真を見返しても、1枚の写真では色の出方まで戻せません。公園の池とお堀のように何度か通える場所なら、成鳥が近くに浮いている日を待つほうが早く片づきます。数だけは数えられるので、黒い個体が何羽いたかは書いておきます。群れに成鳥が1羽でもいれば、色の見え方の基準にできます。