雪中の狩人

ルネサンス

雪中の狩人は、ピーテル・ブリューゲル(父)による1565年の作品。

どんな絵か

板に油彩、116.5×162cm。雪の坂を、犬を連れた狩人三人が背を向けて下りてくる。獲物はキツネ一匹だけ。坂の下の凍った池ではスケートや橇、アイスホッケーに人々が興じ、Alla Prima は画面に60人以上が描かれていると言う。遠くの山並みは現地に無い景色だと Smarthistory と Alla Prima は言う。ウィーン美術史美術館(KHM)蔵。

どこを見るか

狩人の背から並木の列を伝い、視線は坂をそのまま凍った池まで滑り落ちる。対角線構図として見ると分かりやすい。Smarthistory は、中景がほとんど無く、坂を下るといきなり池の中にいる感覚になると話す。Alla Prima は、中央の鳥罠を悪魔、木のカラスを死の前兆、カササギを悪魔の象徴とし、当時の宗教対立を映す寓意として読む。

使われている技法

油彩で板に描いた絵。Smarthistory は、ルネサンス期フランドルの板絵で、写本の挿絵にあった月ごとの作業の主題を大画面に広げた例だと話す。KHM の記録では板はオーク材で、厚さ2.4cm、額装すると134×180cm。同じ動画は、雪に残る足跡で深い雪を踏みしめる感覚が伝わると話し、背を向けた姿勢と頭を下げた犬から疲れも読む。

描かれた背景

1565年、アントワープの商人ニコラース・ヨンゲリンクの注文で、六枚組の連作の一枚。Alla Prima は五枚が残ると言い、北部フランドルは小氷期(16〜19世紀)にあたって、水が凍り食料が滞り、暴動や飢饉が起きたと話す。17世紀のオランダの冬景色を調べた Metzger(2020・査読前の公開版)は、絵が記録より寒く乾いた天気を多く描いたと比べ、冬景色は天気の多様さを一部しか示さないと論じる。

出典

  1. 公的機関・英語 Kunsthistorisches Museum(ウィーン美術史美術館) Hunters in the Snow (Winter)
  2. 公的機関・英語 Codart Hunters in the Snow
  3. 論文・英語 Alexis Metzger(2020) Enjoying the ice. Dutch Winter landscapes, weather and climate in the Golden Age, 17th century(査読前の公開版)
  4. 動画・英語 Alla Prima How this innocent painting hides a dangerous reality
  5. 動画・英語 Smarthistory Bruegel, Hunters in the Snow (Winter)
  6. 動画 りーにのやさしい美術アカデミー 【ブリューゲルが描いた冬の世界】《雪中の狩人》をやさしく解説【やさしい美術アカデミー】

解説動画: 連作の冬にあたる一枚として見る画面と背景/日めくり3分間名画の旅

どんな絵として紹介しているか: 一年を分けて描いた連作の一枚で、先に紹介した秋の絵に続く冬にあたると説明している。六枚のうち春の一枚は失われており、残ったなかでもこれがもっとも有名な作品だという。ブリューゲルは16世紀のネーデルラント、いまのベルギーのアントワープで活躍した画家だが、生涯の記録はほとんど残っていないとも触れる。

どこを見るか: 白い雪の広がりの上に狩人たちや木々が黒くくっきりと置かれ、そこが強いコントラストになっていると指摘する。人物は数が多いのに一人ずつ細かく描き分けられており、空をよぎる一羽の鳥がこの景色の空を表していると述べる。造形の美しさとバランスの良さが、後の芸術家たちに大きな影響を与えたという。

描かれている場面: 手前の狩人たちは獲物が少なかったのか元気がなく、すぐそばでは何かを焼いており、その先では人々が楽しそうに過ごしていると読んでいる。遠くの山については、イタリアへ行った際にアルプスを越えたときの印象をもとに、パノラマとして描いたと言われていると紹介する。