霧が片側にしか届かない
霧と装置の不調
判定: すぐ手を打つ
霧の届かない場所は、根から先に分かります。噴霧の重なりが足りないと、乾いた場所ができます。
どう見えるか
同じ棚なのに、手前の株は葉が張り、奥の株は小さいままという差が固定します。チャンバーを開けると片側の壁だけが濡れ、反対側は乾いています。根も片側は白く、もう片側は細く縮んでいます。株を入れ替えても、育ちの悪い場所は同じところに残ります。同じ棚で育ちが揃わないという形で先に目に入ります。
何が起きているか
噴霧の重なりが取れていません。中空円錐のノズルは輪の形に当たるので、輪と輪が重ならないと真ん中や端に乾いた場所ができます。Min ら 2023 は、上の段まで霧が届かず、いちばん下の面しか使えなくなったと書いています。届かない場所の根は、霧の休みが長すぎる状態に置かれます。ノズルの本数と間隔で決めた前提が、実物とずれています。
どうするか
まず、栽培面と同じ高さに吸水する紙を敷き、ふだんの噴霧を十秒ほど当てて濡れ方の地図を取ります。紙が飽和する前に見るのがこつです。乾いた場所が出たら、ノズルの向きと高さを直し、それでも埋まらなければ本数を足します。段の高さを下げるだけで届くこともあります。圧力計も一緒に見て、1本だけ弱っていないか確かめます。
起こさないために
紙で濡れ方を取る作業を、作の切り替えごとに入れます。株が茂ると霧の通り道は変わるので、繁茂した状態でも一度見ます。ノズルの向きと取り付け高さは一度決めたら記録に残し、動かしたら測り直します。届く範囲は圧力と粒の大きさで変わるので、ノズルを替えたときと圧の設定を変えたときも取り直します。
どこまで確かめられているか
Min ら 2023(J. Agric. Eng. 54:1387)は、半分だけ吸水する紙を栽培面に見立て、80psiで10秒の同時噴霧を当てて形を写しました。紙で測った広がりは965.2mm×863.6mmで、幾何モデルの924.6mm×906.78mmに近い値でした。紙は粗い方法で、1本ずつの形は重なって読み取れないと本人たちが断っています。乾いた面積と収量を結んだ測定はありません。
解説動画: Assessing spray coverage in the vineyard with water sensitive papers/InnoGrape
かかったつもりを疑う: 動画は、薬剤の選び方や見回りは意識されるのに、当たり方は見落とされやすいと切り出します。何年も撒いてきた人でも、樹の内側は外側より、葉の裏は表よりかかりにくい。効かせたい面へ十分な量が均等に載ってはじめて効くので、どこに届いているかを実際に確かめる作業が要る、と述べます。
黄色い紙が青くなる: 使うのは感水紙です。塗工した黄色い紙が、水の粒に触れたところだけ青く変わります。当たった範囲と粒の大きさが、その場で目に見える形になります。散布機を見て直すための簡単なやり方として挙げられます。ただし湿度が高いときや、指や手の汗が付いただけでも色が変わるので、扱いには気をつけるようにと注意を添えます。
置き方で結果が決まる: 紙は散布の前に、留め具やクリップで何か所にも取り付けます。要点は置き場所と向きで、高さも面の向きも変えて、樹の内と外にばらけさせること。樹の違うところの当たり方を試せるように散らして置くことが欠かせない、と念を押します。使った紙は乾いたらすぐ回収する、というところまで手順を示します。
見るか、読み取るか: 回収した紙は、目で見て覆われた面積の見当をつけるだけでも足ります。より細かく見たいときは、西オーストラリア大学と同州の農業食料省が作ったSnapCardという携帯電話のアプリで読み取る方法を挙げます。装置の側と撒き方の側を両方確かめられる道具だ、と位置づけます。
霧の部屋で読むなら: 扱っているのはブドウ畑の防除で、噴霧栽培の部屋も根も一度も出てきません。それでも、ノズルの大きさ・吐出量・取り付け位置・向きを直す前に、まず紙を置いて当たり方を測るという順序は同じです。片側だけ届いていないことを確かめる手として、ノズルの向きと取り付け高さを決め直す前に置けます。