多量要素
組成と処方
窒素・リン・カリウムだけでは足りません。カルシウム・マグネシウム・硫黄を加えた6つが、株の重さのほとんどを作ります。
何を担う成分・数字か
窒素は葉と茎を伸ばし、リンは根の伸びとエネルギーの受け渡しに、カリウムは水の出入りと実の肥大に効きます。カルシウムは細胞の壁をつなぐ材料として伸びる先で使われ、マグネシウムは葉緑素の中心に座り、硫黄はタンパク質の一部になります。この6つで株の乾いた重さのほとんどが説明できます。窒素とカリウムは要る量がとくに多く、生育段階に合わせて動かす対象にもなります。
目安の範囲
フロリダ大学の普及資料 HS796(Hochmuth と Hochmuth)のトマト向けの表は、窒素70〜150、カリウム120〜200 mg/Lを生育段階で動かし、リン50、カルシウム150、マグネシウム40〜50、硫黄50〜60 mg/L を通します。定植から第1花房までがいちばん薄く、第5花房から先がいちばん濃い並びです。日本の園試処方と山崎処方は me/L で書くので、並べる前に単位をそろえます。
動かすと何が変わるか
窒素を早くから濃くすると茎葉ばかりが茂り、茎に割れ目ができて腐りの入口になります。同じ資料はカリウムが多すぎるとカルシウムとマグネシウムの吸収を邪魔すると書き、下葉のマグネシウム欠乏と実の尻腐れを挙げています。カリウムとカルシウムのどちらに寄せるかは作物で違い、神奈川県の施肥基準はキュウリ・メロン・スイカを好カルシウムの側に置いています。取り合いの中身はカルシウムが届かないにまとめました。
測りかたと直しかた
1つずつは測れないので、EC計で合計を見て、養液の単位と換算をたどって処方から逆算します。神奈川県の施肥基準(令和4年)は、me/L でみると硝酸態窒素=カリウム+カルシウム、リン=マグネシウムという釣り合いを挙げています。実際の値を知るには分析に出すことになり、硝酸態窒素・リン・カリウム・カルシウム・マグネシウムの5つが基本です。大きく外れたら、足すより更新と廃液で入れ替えます。
解説動画: NPK以外に作物に必要な要素は?(中量要素編) ~松本先生の土壌のあれこれ~/MCFCアグリチャンネル
中量要素の四つ: 動画は、窒素・リン酸・カリウムのほかに要る中量要素として、マグネシウム・カルシウム・珪酸・硫黄の四つを挙げます。聞き手が一つずつ働きを尋ね、土壌の先生が答えていく形で進み、最後は作物の種類によって要る量が違うという一点に戻ります。量の多い少ないより、何を担っている元素かで並べていく回です。
マグネシウムの役: マグネシウムは葉緑素の重要な構成物質だと述べます。だから欠けると光合成が非常に落ちる。量の多い少ないの前に、この元素が無いと株が光を使えなくなるという一点で、大変重要な物質になると言います。のちに珪酸と並べ直して、どちらも光合成に大きな役割を果たす二つとしてまとめます。
カルシウムの話: 日本の農地は酸性が強く、pHを6付近まで上げるために長らくカルシウムを大量に使ってきた、と振り返ります。そのうえで水稲では、中和とは別に光合成でできた糖を転流させるときに重要な役割を果たすと古い文献から分かってきたと述べます。果菜類ではトマトの尻腐れ、果樹ではリンゴやナシの不良果が挙がり、取り合いはカルシウムが届かないに置きました。
珪酸と株の姿勢: 珪酸は稲に絶対に要る、と動画は言います。茎を丈夫にしてまっすぐ立たせるので葉が垂れ下がらず、太陽の光が下のほうまで当たります。垂れると株元にガスがたまって風通しが悪くなり、葉の温度が上がる。葉温が上がるのは光合成に不都合な状態だ、と結びます。他の作物でも茎をしっかりさせる働きは同じだと述べます。
硫黄と作物の差: 硫黄は含硫アミノ酸をつくるのに要る元素で、そこからタンパク質につながります。ただし大量に与えるとpHを下げるので、要る量はカルシウムやマグネシウムよりはるかに低く、微量要素より若干多い程度。硫安を使わなくなって不足しがちだと述べ、欠けると味も葉も肥大も落ちると言います。