植物の必須元素
組成と処方
必須とされる元素は、どれか1つでも欠けると代わりがききません。霧で育てるときは、空気と水から入る三つを除いて、人の手で溶かして渡します。
何を担う成分・数字か
植物が育ち切るために要る元素は、ふつう17と数えられます。このうち炭素・水素・酸素は空気と水から入ってくるので、残りの14を人が水に溶かして渡すことになります。担い手は多量要素と微量要素に分かれ、要る量は桁がいくつも違います。土なら根が届く範囲の土そのものが在庫になりますが、霧で育てる装置では水に溶けている分がすべてです。どれか1つでも欠けたとき、ほかの元素が肩代わりしてはくれません。
目安の範囲
必須と呼べる条件は3つです。その元素が無いと一生を終えられないこと、ほかの元素で代わりがきかないこと、代謝そのものに関わっていること——Arnon と Stout 1939 が置いた線で、フロリダ大学の普及資料 HS1191 も同じ3つを挙げています。数え方が16とも17とも割れるのは、ニッケルを入れるかどうかの違いです。
動かすと何が変わるか
ニッケルが17番目に加わったのは1980年代の後半で、Brown らの仕事によります(HS1191)。要る量は乾物1kgあたり0.5mg未満と、必須元素のなかでいちばん少ない量です。同じ大学の HS796 は、肥料に混じる不純物で間に合ってしまうため、フロリダの水耕作物で欠乏を見たことがないと書いています。
測りかたと直しかた
土なら粘土と腐植が余った分を抱えて少しずつ放しますが、霧で育てる装置にその働きはありません。神奈川県の施肥基準(令和4年)は、始める前に原水のEC・pH・重炭酸を測るよう書いています。足りているかは養液のECでは読めません——ECが映すのはイオンの合計だけだからです。個々の量は処方から逆算するか、水質分析に出して確かめます。欠けたひとつが分かるのは、たいてい葉に出てからです。
解説動画: 【いくつ知っていますか?】植物の必須栄養素17種類/ガーデコジャパン園芸ガーデニングチャンネル
全部で17ある: 動画は、植物の生育に要る栄養素は全部で17あるとして、肥料の袋に並ぶ成分もそのうちだと説明します。まず炭素・水素・酸素は空気中の二酸化炭素と水から入るので意識されにくいけれど、日当たりと風通し、乾いたら水をやるといった育てる環境そのものが効いてくると言います。
三要素の役目: 窒素は空気中にたくさんあっても植物は取り込めないので肥料で補う、と続けます。アミノ酸やタンパク質のもとで、肥料成分のなかでもっとも重要だと述べます。リン酸はATPの主成分で、細胞分裂の盛んな花芽や根の先端で多く使われる。カリウムは植物体をつくる元素ではないのに、代謝全般と気孔の開閉に関わる。ここまでが多量要素の側です。
次に多い三つ: カルシウム・マグネシウム・硫黄は、三要素に次いで要る量が多い中量要素だと続けます。カルシウムは細胞壁の材料で株の中を動きにくく、欠けると新芽や果実の先端に症状が出る(→カルシウムが届かない)。マグネシウムは葉緑素をつくる成分で、欠けると葉脈を残して葉が黄色くなる。硫黄は一部のアミノ酸やタンパク質の材料だと添えます。
微量でも要る: 残る8つは要る量が少ないため微量要素と呼ばれる、と挙げていきます。鉄とマンガンは光合成で働き、塩素もその一部に関わる。ホウ素は細胞壁の材料で、アブラナ科で欠けやすいと言われる。銅・亜鉛・モリブデン・ニッケルは酵素の構成成分として知られる。量は少なくても欠かせない働きだ、という並べ方です。
多いほど良くない: 最後に17をもう一度読み上げたうえで、肥料をたくさん与えたからといって元気に育つわけではなく、かえって逆効果になることもあると念を押します。何をどれだけ渡すかと同じくらい、日当たりや風通しといった栽培環境や土づくりのほうも同じ重さで効いてくる、という結びでした。