園試処方と山崎処方

組成と処方

日本の養液栽培は、この2つを土台にしてきました。園試処方はどの作物にも使える1本、山崎処方は作物ごとに組み替える考え方です。

何を担う成分・数字か

昭和36年ごろ、農林省園芸試験場興津支場の山崎肯哉と堀裕が礫耕の実用化を目指し、日本独自の装置と一緒に礫耕用の処方を作りました。これが園試処方です。戦後に東京と滋賀へ置かれた礫耕の施設が閉じたころの話にあたります。山崎は著書で、果菜類の吸収割合からカリウム8 me/L を基準に、ホーグランド処方に倣って組んだと記しています(寺林 2016)。

目安の範囲

園試処方は硝酸態窒素16、リン4、カリウム8、カルシウム8、マグネシウム4 me/Lで、EC はおよそ2.4 mS/cm です(神奈川県 施肥基準 令和4年)。同じ表の山崎処方は作物ごとに違い、トマトが7・2・4・3・2 me/L で EC 1.1 mS/cm、イチゴが5・1.5・3・2・1 me/L で EC 0.7 mS/cm。並びは同じ順なので、作物ごとに濃さも成分の比も変わるのが読み取れます。

動かすと何が変わるか

山崎処方の考え方は、ある期間に減った養分の量(me)を、同じ期間に減った水の量(L)で割った濃さで組むことです。株が吸った濃さに合わせるので、水を足していっても組成が崩れにくい側に寄ります。園試処方は1本で広く使える代わりに、作物によっては余る成分が出ます。発表のあと肥料をつくる側や試験研究機関が作物ごとの処方を出しましたが、その多くはこの2つに準じたものです(寺林 2016)。

測りかたと直しかた

同じ割り算は自分の装置でもできます。始めと終わりのEC計の値と分析値、それに減った水の量を記録して、吸収濃度を出します。原水から入った分と足した原液の分を引いてから割ります。現場では比をそのままに、全体の濃さだけを季節と生育段階で動かす管理がふつうです(寺林 2016)。日々の足し方は補水と追肥に、単位の直し方は養液の単位と換算に置きました。