粒径分布の幅
粒径と分布
霧は一つの大きさではなく、幅を持った集まりです。幅は (DV90−DV10)÷DV50 のスパンで表します。
どんな仕組みか
霧は一つの大きさの粒でできてはいません。(DV90−DV10)÷DV50で幅を一つの数にしたものがスパンで、相対スパン係数(RSF)とも呼ばれます。値が小さいほど粒がそろっているという読み方です。代表値だけでは、そろった霧と幅の広い霧を見分けられません。中央の位置は体積中位径が受け持ちます。
粒径と圧力の目安
Chen ら 2024(Frontiers in Plant Science)の回転ディスクの実験では、RSF は0.670〜1.001に収まり、レイノルズ数を上げるほど小さくなりました。農薬散布の側では、Ferreira ら 2020 が9種のノズルを 150〜450 kPaで測った相対スパンを1.39〜1.80と報告しています。同じ指標でも、装置が違えば水準そのものが変わります。
根に届くまで
同じ DV50 でも幅が違えば、根に届く量は変わります。細かい側の裾は空気に乗って抜け、粗い側の裾は手前で落ちます。どちらの裾も、狙った場所には残りません。幅が広い霧ほど棚の奥と手前で差が出やすく、霧が片側にしか届かないという形で先に目に見えます。スパンを公表しているノズルは少なく、同じ代表値の製品同士でも中身が違うことがあります。
詰まりと劣化
摩耗した口や部分的な詰まりは、中央値より先に幅を広げます。代表値は動いていないのに、大きな粒が混じり始めるという壊れ方です。噴霧の形を光にかざして見る、ミストノズルを1本ずつ外して比べる、といった手当てのほうが、代表値を追うより早く気づけます。圧力も流量も変わらないのに音や形だけが変わったら、幅が広がった合図です。
誰が、何を、どう測った値か
スパンと VMD/NMD 比、ロジン・ラムラー分布を並べて使う流儀は、Chen ら 2024 が回転ディスクの霧についてエタノール水溶液、高速度カメラによる画像計測で示したものです。噴霧栽培のノズルでスパンまで載せた資料は、確認できた範囲では見当たりません。液が違えば値も動くので、液が変われば粒も変わると合わせて読みます。
解説動画: What is D10, D50, D90 SPAN in Particle Size Distribution/Pharma Learning In Depth
D50は真ん中: 動画が扱うのは薬の粉の粒径分布で、まず D50 から入ります。D50 が80 µmなら、粒の半分がそれより小さく、半分は大きいという読み方です。D90 が150 µm なら9割がそれ以下、D10 が40 µm なら1割がそれ以下で、D10 と D90 は向きが逆だと念を押します。どれも累積の曲線から読む値だ、という説明です。
三つ組で決める: 値をひとつ出すのでは足りず、D10・D50・D90 の三点をそろえて決めるのが決まりだと述べます。必要なら、すべてが入る上限として D100 も足します。数字を決めるときは、どの方法で測ったか、その装置にどれだけばらつきがあるかまで一緒に見なければならない、と繰り返し注意しています。
幅は比で見る: 分布の広さは、まずD90 と D10 の比で見ると言います。1に近ければ狭く、大きいほど広い。差が開いているほど、大きい粒と小さい粒が離れているということです。代表値がひとつ同じでも、この比まで見なければ、そろった集まりと散らばった集まりを見分けられない、という話の運びになっています。
スパンという数: もうひとつの言い方がスパン=(D90−D10)÷D50で、これも仕様に書き入れる数のひとつだと述べます。0に近いほど分布は狭く、粉はそろっている。値が大きいほど幅が広い、という読み方です。中央がどこにあるかを表す体積中位径と組にして、はじめて集まりの形が言えます。
測り方で値が動く: 測り方も並べて説明します。画像解析は個数、ふるい分けは質量、レーザー回折は体積で分布を出し、D10・D50・D90 を読むのに使うのはレーザー回折だと言います。動画は最後に、分布が狭いほど仕込みごとの中身がそろうことを、幅をわざわざ数にして管理する理由として挙げ、そこで話を閉じています。