個数基準と体積基準
粒径と分布
同じ霧でも、数で数えるか体積で数えるかで値が変わります。小さい粒は数では大多数でも、体積ではごくわずかです。
どんな仕組みか
直径が半分になると体積は8分の1になります。だから個数で数えた分布は細かい側に、体積で数えた分布は粗い側に山ができます。同じ霧なのに、山の立つ場所が別になるということです。D10(算術平均径)と DV10(体積の累積10%径)は別物で、名前が似ているだけです。中央値も同じで、体積で切った体積中位径と個数で切った値は一致しません。
粒径と圧力の目安
Chen ら 2024(Frontiers in Plant Science)は、レイノルズ数の低い条件で小さい粒が数では大多数を占めるのに、体積では全体のごく一部にとどまることを示しました。液の大半は数少ない大きな粒に入っていました。そろい具合を見る VMD/NMD 比も、体積側と個数側の中央値の比として定義されます。
根に届くまで
根に届く量は体積の話なので、個数の多さは届く量を保証しません。数µmの粒がいくら多くても、運ばれる液はわずかです。超音波で霧を立てる方式の値と加圧ノズルの体積中位径を同じ表に並べると、この差が見えなくなります。数えかたを書かずに µm だけを並べた表は、比べているようで比べていません。霧は細かいほどよく育つ?の食い違いも、ここから始まります。
詰まりと劣化
口が部分的に塞がると、出る粒は少なく粗くなります。このとき個数基準の平均はあまり動かないのに、体積基準の値だけが跳ねます。どちらを見ているかで、異変に気づける時期が変わります。気づくのが早いのは体積の側で、根に届く量に直結するのもそちらです。装置の記録は測りかたごと残す——基準は粒径の測りかたで決まってしまうからです。
誰が、何を、どう測った値か
個数基準と体積基準の違いは粒度計測の基本で、規格では ASTM E799-03(2020)e1 が粒径データの扱いを定めています。レーザー回折は体積で重みづけした結果を返す方式で、手順の規格は ISO 13320:2020 です。位相ドップラー法は1粒ずつ数えます。基準を書いていない数字は、別の測りかたの数字と並べられません。
解説動画: Mean (average) diameter of bulk particles/Salim Ahmed
平均は一つではない: 動画は、大きさのそろっていない粒の集まりについて「平均の大きさ」をどう出すかから始めます。置く前提は粒の形がそろっていることと材質が同じであることの二つ。そのうえで、平均という言葉が一つの計算を指すわけではないと念を押します。足し合わせられる量なら足して割ればよいが、そうでない量もあるからです。
足せない量の平均: 例に出るのは伸び率です。10%・0%・50%の三年を単純に足して割ると20%ですが、三年後の実際は1.65倍で、20%で三年進めた1.728倍とは合いません。掛け合わせて三乗根を取る幾何平均なら約18%になり、こちらが実際に近い。量の性質で計算を選ぶという筋です。
数で重みをつける: 粒の平均径には四つの出し方があると動画は挙げます。一つめの算術平均径は、それぞれの大きさの組にある粒の個数を重みにして径を平均する形です。意味するのは、同じ個数の同じ大きさの粒に置き換えたとき、一列に並べた長さが元の集まりと同じになる径だということ。長さでそろえた平均だと説明されます。
質量で重みをつける: 二つめの質量平均径は、式の形は算術平均と同じで、重みが個数から質量の割合に変わったものです。同じ形に見えても、重みが個数から質量に変われば出てくる径も変わります。動画は、これを体積の平均と取り違えないよう念を押します——同じ質量になる径という意味ではないからです。
面積と体積でそろえる: 三つめの表面積平均径は、同じ個数の同じ大きさの粒に置き換えて表面積が元と同じになる径、四つめの体積平均径は体積が元と同じになる径です。動画は、同じ集まりから四つの別の径が出ると整理し、どれも同じ「平均」の名で呼ばれることに念を押します。測り方の側は粒径の測りかたが受け持ちます。