落ちる粒と浮く粒
粒径と分布
粒が落ちる速さは、直径の二乗におよそ比例します。10µmの霧は1秒に数mm、100µmでは数十cm落ちます。
どんな仕組みか
静かな空気の中で粒が落ちる速さは、v=ρd²g÷18µというストークスの式で近似できます。直径の二乗で効くので、大きさが少し違うだけで挙動が分かれます。あくまで空気が止まっている前提で、風があれば結果は変わります。粒が流れに追いつくまでの時間とまわりの寸法の比がストークス数と捕まる割合で、これが空気に乗るか外れるかを分けます。
粒径と圧力の目安
20℃の空気について自前で計算すると、1 µm で 0.03 mm/s、10 µm で 3.0 mm/s、50 µm で 7.5 cm/s、100 µm で 30 cm/sになります。100 µm あたりでレイノルズ数が1を超え、この式は実際より速い値を出します。式は流体の教科書どおりのもので、噴霧栽培の棚で測った値ではありません。
根に届くまで
細かい粒は空気の流れに沿って進み、障害物の手前で流線ごとよけます。粗い粒は慣性で流れから外れ、根や壁に当たります。Zaid ら 2026 の総説では0.3 µm より大きい粒はさえぎりと慣性衝突、0.1 µm 以下は拡散が主な捕まりかたです。だから細かい霧の行き先はチャンバーの中の風が決めます。
詰まりと劣化
落ちた粒は床にたまり、跳ね返りと壁の水膜をつくって回収槽へ戻ります。戻り水は根くずや藻を連れてくるため、ろ過が甘いとノズルの口が塞がる側へ効きます。床に残った水は膜のまま温まり、藻が付く足がかりにもなります。粗い粒ほど落ちる量は多く、タンクの養液が濁ってぬめる状態とは同じ経路でつながっています。
誰が、何を、どう測った値か
沈降速度の式とストークス数は流体・エアロゾル工学の教科書の内容で、ここに書いた数値は20℃・1気圧の空気、水の球という前提で自前で計算したものです。捕集の三つの道筋とストークス数の扱いは Zaid ら 2026(Journal of Materials Science、CC BY)の総説によります。滞空の見積もりは霧の滞空時間と落下距離へ渡します。
解説動画: Sediment deposition and Stokes’ Law/Oklahoma State University Soil Physics
沈む速さを見積もる: 動画は、流れが遅くなると粒が沈み始めるところから入り、その速さをストークスの式で近似します。粒にかかるのは下向きの重さと上向きの抵抗で、浮力は重さの側にまとめて差し引きます。加速が止まって釣り合ったところが終端の速さで、この釣り合いから式を解くのだ、と順に示します。
式が立つ前提: 使う前に前提を三つ置きます。粒が球であること——砂には合っても板状の粘土には合いません——、粒どうしがぶつからないほど薄く散らばっていること、そして粒のまわりの流れが乱れていないことです。動画は、この前提を外れると式の値をそのままでは使えないと断ります。前提の外れ方が、そのまま見積もりの外れ方になります。
径の二乗で効く: 抵抗の力は6πηrU、下向きの側は球の体積に粒と液の密度の差と重力加速度を掛けた形で、この二つを等しく置くと速さが出ます。動画が繰り返すのは速さが径の二乗に比例すること。径が一桁小さくなると沈む速さは二桁落ちます。ここで動画は視聴者に、実際に計算して確かめるよう促します。
1m沈むまでの時間: 粘度0.001kg/m·s、粒の密度2650kg/m³という条件で、1m沈むのにかかる時間を三つ計算します。径0.05mmの砂は毎秒2.25mmで7.4分、0.005mmのシルトで12時間、0.0005mmの粘土では51日。同じ1mでも、細かいほど桁で長くなります。
落ちない粒がある: 動画が扱うのは水の中を沈む土の粒で、空気の中の霧ではありません。時間の計算では終端の速さにすぐ達するとみなしてよいと断ったうえで、粘土の多い土が流れ込んだ池が濁ったままになるのは細かい粒の沈む速さが桁で遅いからだと結びます。霧の側でこの径の二乗の関係をどう使うかは霧の滞空時間と落下距離へ。