ザウター平均径
粒径と分布
体積と表面積の比が同じになる球の直径です。表面のやりとりが効く場面では、この値で霧の粗さを言います。
どんな仕組みか
霧の集まり全体を、球ひとつで代表させるときの直径です。体積を表面積で割り、6を掛けた値として定義され、記号は D32 と書きます。ひと粒の話ではなく、その霧と同じ体積・表面積の比を持つ球を考えます。液の体積の半分が入る直径を指す体積中位径とは別の量で、同じ霧について両方を計算できます。
粒径と圧力の目安
Lee ら 2026の噴霧栽培の実測では、6段階のノズル級で D32 が115.3・122.5・179.5・184.1・362.2・647.9 µmと並びました。測定条件はレーザー回折式の粒度計、圧力 4.0 bar、ノズルから 500 mm、流量は0.6〜0.7 L/minです。圧力と距離が変われば、同じノズルでも値は動きます。
根に届くまで
表面積が効くのは飛んでいる間で、蒸発と、粒の表面での気体のやりとりがここに当たります。同じ量の液でも D32 が小さいほど表面積の合計は大きく、痩せるのも溶け込むのも速くなります。途中で痩せる話は飛んでいる間に蒸発するへ、着いたあとの水のたまりかたは根をつつむ水の膜へ続きます。着地してからは、粒の細かさより当たった量のほうが効きます。
詰まりと劣化
オリフィスが摩耗して口径が広がると、同じ圧力でも D32 は大きい側へ動きます。片側だけ部分的に塞がったときは噴霧の形が崩れ、粗い粒が混じって値が跳ねます。硬い水を使っていると、口のまわりに白い付着物が育って内側から流路を細くします。目の細かいろ過を保ち、交換の記録を残すことが、インラインフィルターの状態と数字の変化を結びつける手がかりになります。
誰が、何を、どう測った値か
定義は ASTM E799-03(2020)e1 で、Chen ら 2024(Frontiers in Plant Science)が回転ディスクの研究で D10・D32・DV0.5 の出所としてこの規格を引いています。名前は Josef Sauter が 1926 年に発表した仕事に由来します。噴霧栽培の実測値は Lee ら 2026 の1施設・1作物・6ノズル級という範囲のものです。
解説動画: Mean (average) diameter of bulk particles/Salim Ahmed
平均は一つでない: 動画はまず、平均には種類があると述べます。足し合わせられる量なら算術平均でよいのですが、伸び率のように掛け合わさる量では答えがずれます。10%・0%・50%の3年を算術平均で20%と見ると3年後は1.728倍になりますが、実際は1.65倍です。掛け合わせて累乗根をとる幾何平均なら約18%で、実際の値に近い数字になります。
粒の平均は四つ: そのうえで動画は、大きさの違う粒の集まりを一つの直径で代表させるやり方を四つ挙げます。算術平均径・質量平均径・表面平均径・体積平均径です。前提は二つで、粒の形がそろっていて形状係数が分かっていること、材質が同じで密度が一定であることだと断っています。どれを選ぶかで、同じ集まりから出てくる値は変わります。
長さでそろえる: 算術平均径は各群の個数で重みを付けたΣni・dpi ÷ Σniで、動画はこれを、同じ個数の同じ大きさの粒に置き換えたとき一列に並べた長さがそろう直径だと言い換えます。質量平均径は式の形は同じまま、重みを個数から質量分率に替えたものです。数で数えるか重さで数えるかの違いは個数基準と体積基準につながります。
表面積でそろえる: 表面平均径は、置き換えた粒の比表面積がそろう直径です。動画は集まりの比表面積を、形状係数と密度と、粒径で割った質量分率の和で書き、一つの径だけを持つ場合と等しいと置いて解いて、Σxi ÷ Σ(xi÷dpi)という式を出します。表面のやりとりを見るときの代表径が、この形になるということです。
何をそろえたいか: 体積平均径は、置き換えた粒の体積の合計がそろう直径で、粒径の3乗で割った質量分率の和から求めます。体積がそろえば質量もそろいますが、質量平均径とは別の量なので混同しないように、と動画は念を押します。何をそろえたいかで平均の取り方が決まる——表面積でそろえた代表径が、ここで言う値にあたります。