根の中まで入るか
当てかたと間欠
根の塊は、内側ほど霧が入りにくい場所です。外側の根が先に粒を捕まえ、奥は届かないまま終わることがあります。
どんな仕組みか
根の塊を、細い繊維がぎっしり詰まった層と見ると、霧の入り方が読めます。空気と一緒に入ってきた粒はさえぎり・慣性衝突・拡散・重力沈降のどれかで根に捕まり、捕まった粒はそこで止まります。だから外側の根が先に取るほど、内側に残る量は減ります。層として扱う見方は根の塊を多孔質として扱うが受け持ちます。
粒径と圧力の目安
繊維に粒が捕まる理屈は、空気清浄の分野で整理されています。Zaid ら 2026 の総説では拡散が主になるのは0.1 µm より小さい粒、さえぎりと慣性衝突が主になるのは0.3 µm より大きい粒で、慣性が目立ちはじめるのは1.0 µm 付近からです。噴霧栽培の霧はDV50 で141〜733 µm(Lee ら 2026)と桁が上で、慣性の側にいます。
根に届くまで
層の全体の効率は、繊維1本の効率を重ねた形で書かれます。Zaid ら 2026 が挙げる式はE=1−exp(−4αηt/(π df (1−α)))で、厚さが増えるほど手前で取り切られる形をしています。奥ほど薄くなるのは、式の形からしてそうなるということです。粒が流線に沿って抜ける話は落ちる粒と浮く粒と地続きで、割合の見積もりはストークス数と捕まる割合にあります。
詰まりと劣化
株が育つほど、この層は厚く密になります。厚みが増して根が絡んでマットになるところまで進めば空隙が減り、外側で取り切られる割合はさらに上がります。同じ設定のまま作期の終わりまで走らせると、いちばん厳しい条件は収穫の直前に来ます。棚の中で株ごとに厚みが違えば、同じ棚で育ちが揃わない形で表に出ます。内側に届いた量を直に測る方法は、噴霧栽培では確立していません。
誰が、何を、どう測った値か
捕集の理屈は Zaid ら 2026(Journal of Materials Science 61、繊維フィルタの総説)で、空気清浄のフィルタについての整理であって、根で測った話ではありません。噴霧栽培側の粒径は Lee ら 2026 の実測です。
解説動画: 4 Particle Capture Mechanism Of HEPA Filters/Simplifying Pharma Cleanrooms: INDIA
隙間より小さい粒: 動画は、清浄室で使う高性能フィルタが交差して重なったガラス繊維でできていて、繊維の太さは0.1〜10µmだと説明します。ここで意外なのは、繊維どうしの隙間は捕まえたい粒よりずっと大きいことです。ふるいのように通せんぼしているわけではないのに、なぜ粒が残るのか。そこがこの動画の柱になります。
当たれば離れない: 粒が繊維に当たると、その接点にファンデルワールス力のような強い力が働いて粒はそこに留まる、と動画は言います。つまり捕まえ方の問題は「隙間を通れるかどうか」ではなく繊維に触れるかどうかです。そして触れ方は粒の大きさと重さで変わるので、道筋がいくつかに分かれていきます。
拡散とぶつかり: 小さくて軽い粒は空気の流れから外れる力を持たず、でたらめに動きながらたまたま繊維に当たります。これが拡散だと動画は言います。逆に大きくて重さと勢いのある粒は、空気が繊維を回り込むところで曲がりきれず、流れから外れてまっすぐ繊維にぶつかります。これが慣性衝突で、大きく重い粒に効く道筋です。
流れのまま触れる: 三つめはさえぎりです。中くらいの粒は流れから外れずに線に沿って進みますが、空気が繊維を回り込むとき縁をかすめて触れてしまい、そこで捕まります。四つめのふるいは隙間より粒が大きい場合で、動画はこれを前段で取りこぼした粒に起きる高性能フィルタではまれな例だと位置づけます。
大きさで分かれる: 動画は、小さい粒は拡散・中くらいはさえぎり・大きい粒は慣性衝突と覚えるよう結びます。0.3µmの粒を理論上99.9%以上取れるという値も挙がりますが、なぜその径なのかは別の回に回されます。扱っているのは空気の清浄であって霧ではないものの、粒の大きさで捕まりかたが分かれるという整理はストークス数と捕まる割合につながります。