チャンバーの中の風

当てかたと間欠

霧は、風のあるほうへ運ばれます。送風や隙間の流れがあると、狙った場所の手前で霧が偏ります。

どんな仕組みか

ノズルの勢いが効くのは出口の近くだけで、そこから先は周りの空気が霧を運びます。送風機の風、温度差による対流、隙間から入る流れが重なって、狙った場所と、実際に霧が濃い場所がずれます。細かい粒ほど空気の流れに沿うので、この影響を強く受けます(落ちる粒と浮く粒)。ノズルの向きを直しても偏りが残るときは、風の側を疑うところです。

粒径と圧力の目安

閉じた栽培室で霧の分布を測った資料は多くありません。屋外の例として、Chen ら 2024 は風洞で風速毎秒2.5 m・ノズル高さ0.7 m、風下1.5〜3.5 m へ0.5 m 間隔に感水紙を置き、離れるほど着いた粒の平均径が単調に下がることを確かめました。屋外の農薬散布の条件での話です。

根に届くまで

風が霧を運ぶということは、風がなければ湿りが抜けないということでもあります。Lee ら 2026 の実測では、5分周期の運転中の根圏が相対湿度94.5〜96.5%でほぼ飽和に近く、粗いノズルの区が96.3%、細かいVFの区が94.7%でした。空気の入れ替えは換気回数と密閉度、株のまわりの流れは株のまわりの風速の帯が受け持ちます。

詰まりと劣化

偏った気流は、装置の不調と同じ見え方をします。片側だけ霧が薄ければ霧が片側にしか届かないように見え、棚のあいだで差がつけば同じ棚で育ちが揃わない形で表に出ます。送風機やダクトに埃が積もれば風量は落ち、隙間のふさぎ方が変われば流れの道も変わります。どこがどれだけ薄いかは、風の側を測らないと切り分けられません。

誰が、何を、どう測った値か

風下と粒径の関係は Chen ら 2024(Heliyon 10(9):e30935、CC BY)の風洞と数値計算です。根圏の湿度と温度は Lee ら 2026 の実測で、著者は室の目安であって根の表面の濡れ具合ではないと断っています。

解説動画: Air circulation and fans in greenhouses/ZipGrow

風を回す目的: 栽培用のハウスでの話として、動画は空気の流れが足りていることを最初に置きます。蒸散が続くようにすること、株の層のあいだで温度をそろえること、そして濡れたままの株から病気が出るのを防ぐことの三つが目的だと述べます。そのうえで、必要な風量の見当のつけ方と、送風機をどこへ置くかへ話を進めます。

循環と排気は別もの: 風の作り方は二通りだと整理します。循環用は淀んで層になった空気を崩す役で、天井近くの暖かい空気を下ろして株の層にたまった湿った空気と混ぜます。排気用は片側から乾いた冷たい空気を入れ、反対側から暖かく湿った空気を外へ出す役です。多くの生産者は両方を組み合わせている、と言い添えます。

必要な風量の目安: 数の決め方は風量で示されます。循環側は毎分の送風量の合計を床面積の6〜8倍にするのが目安で、1000平方フィートの空間なら6000〜8000という当てはめ方をします。排気側は考え方が変わり、部屋の容積ぶんを毎分入れ替えられる量を目安にすると述べます。気候によっては送風機を足すことになる、とも言い添えます。

どこへ置くか: 置き場所にも目安が出ます。妻面や側壁からは8〜10フィート離し、隅に淀みを残さないようにする。閉じたハウスでは半分を前向き、半分を後ろ向きにして流れの輪を作る。そして大きな一台より小さな多数のほうが均一になると繰り返します。縦に伸ばす栽培では、小さな送風機を数多く置いて局所の偏りを消す形です。

強さの引きどころ: 最後に強さの話をします。狙いは葉がかすかに揺れる程度の風が株の上を通ることで、それ以上に強めると株を傷め、乾かしてしまうと釘を刺します。排気の側も株の層の上に風が通るように使うとよい、とも述べます。風は足りなければ淀み、強すぎれば乾かす——引きどころのある量だという見方は、株のまわりの風速の帯の考え方と重なります。