時間・お金・場所から、いま試せるものに絞る。
趣味を1つに絞る作業は、候補の数を減らすことそのものが目的ではありません。選択肢が多いと選ぶ気力や満足度が下がるという「選択肢過多」の仮説は、心理学者らが50本の論文・実験から63条件・参加者5,036人分を集めたメタ分析(2010年)で調べたところ、平均的な効果はほぼゼロで、研究ごとのばらつきのほうが大きいという結果になりました。どんなときに効くかはまだはっきりしていません。候補をいくつ残しても、それだけでは決まらないということです。効くのは、気になるものを並べて悩む代わりに、3つに絞る手順で場所・時間・お金という比べられる軸に置き直すことです。
軸を立てたら、どれが向いているかを見る材料は、これからのやる気ではなく、これまでの行動です。向き不向きの見つけ方にあるとおり、休みの日に誰にも言われず手を出していたことを思い出すと、ひとりで黙々か・人とわいわいか、体を動かすか・手先を使うかという傾向が見えます。その傾向を場所・時間・お金の軸に重ねれば、いま手が届く1つが自然と残ります。
ここで最高の1つを探そうとすると、むしろ決まりません。米国の心理学者らの実験と調査(2002年)では、常に最善の選択を追い求める人は、「十分良い」ところで選ぶ人と比べて、幸福感や人生への満足度が低く、後悔を強く感じる傾向があったと報告されています。趣味選びも同じで、絞った候補の中から「悪くない」と思えるものを選べば十分です。やめる基準を先に決める考え方で先に降りる条件を決めておくと、選んだあとに引き返せないという不安が減り、1つに決める踏み出しが軽くなります。
お金の軸も、値段の高さではなく帯で見ます。初期費用と維持費を分けるのとおり最初に払う額と毎月出ていく額を分け、1回あたりの単価で考えるのように回数で割って高さをそろえます。月にいくらまでかを趣味予算の決め方で先に決めておけば、絞る段階で予算を外れる候補を早めに外せます。
絞る段階で道具をひとそろい買ってしまうのは、よくある失敗です。1つに絞った時点ではまだ試していないので、次の体験してから決める段階で実物に触れてから、本当に続けるかを決める順番を守ってください。
出典
- 論文・英語 Benjamin Scheibehenne, Rainer Greifeneder, Peter M. Todd(2010) Can There Ever Be Too Many Options? A Meta-Analytic Review of Choice Overload
- 論文・英語 Barry Schwartz, Andrew Ward, John Monterosso, Sonja Lyubomirsky, Katherine White, Darrin R. Lehman(2002) Maximizing versus satisficing: happiness is a matter of choice.