さそり座M4
球状星団
見え方: 空が暗ければ双眼鏡で
道順はいちばん易しく、見えるかどうかは難しい星団です。アンタレスの西1.3度に位置しますが、光が広がって面が暗く、空が明るいと消えてしまいます。
何がどう見えるか
輪郭のはっきりしない、ゆるく広がった丸い染みに見えます。実視等級5.6は明るい部類ですが、26分角——満月に近い広さに散っているため単位面積あたりの明るさが低く、表面輝度で言えば苦しい相手です。空が明るいと背景に溶けて、位置さえ分からなくなります。等級の数字が近くても、芯に光の寄った星団のようには目立ちません。すぐ東のアンタレスの明るさも、目の側の不利をつくります。
探しかた(目じるしからの道順)
夏の南の空、さそり座の赤い一等星アンタレスを視野の東の端に置きます。そこから西へ1.3度、視野の中心よりやや内側に淡い光が入ります。アンタレスの光が強く、同じ視野に入れたままでは目が明るいほうに引かれます。アンタレスを視野の外へ逃がし、暗い背景だけを残すと浮き上がります。道順そのものは一等星から始まるので迷いませんが、南中しても高度は30度に届かず、南が開けていない場所では位置が分かっても見えません。
双眼鏡で何が増えるか
肉眼ではアンタレスの光に埋もれて分かりません。口径50ミリの7倍で初めて丸い染みとして現れます。近い星団で星の並びが粗いぶん、空の暗い場所では周辺がざらついて見えることがあります。そらし目で視線を外し、像を止めて待つと、そのざらつきが出やすくなります。南中高度は本州でおよそ28度、大気減光の影響が最後まで残る位置です。
写真との落差
写真では白と橙の粒が視野いっぱいに散り、背景の暗黒星雲の帯まで写ります。追尾して長時間露光した姿で、双眼鏡に届くのは灰白色のぼんやりした丸みだけです。写真で目立つ、中央を縦に走る星の列も目には現れません。淡くて広い天体ほど、写真と目の差は大きくなります。この星団は近くて粒が粗いぶん、暗い空でなら縁のざらつきという形で写真に半歩だけ近づきます。
正体
太陽系にもっとも近い球状星団のひとつです。距離の見積もりはおよそ6千光年から7200光年まで幅があり、NASAの解説は5500光年としています。近いぶん星と星の間隔が広く見え、粒に分かれやすい星団です。星の年齢は130億年に達するとされ、宇宙の年齢を測る手がかりとして調べられてきました。