地球照

月の満ち欠けと地形

細い月の暗い側が、灰色に浮かんで見えます。日本天文学会「天文学辞典」は、地球の昼側で反射した太陽光が月の夜側を照らし、それを地球の夜側から見ているものと説明しています。

いつ、どちらの空に出るか

新月をはさんだ数日、夕方の西か明け方の東の低い空が舞台です。日本天文学会「天文学辞典」は、月の輪郭が細いときほど肉眼で観測しやすいとしています。月から見た地球が昼の側を大きく向けて明るく、しかも月そのものがまぶしくないためです。薄明の残る時間帯や街明かりの強い場所では、暗部が背景に沈みます。

肉眼でどこまで見えるか

光っている弧の内側に、灰色の丸がぼんやりと浮かびます。細い弧と合わせると、欠けているはずの月が丸ごと一つの円として見えます。明るさは弧とは比べものにならず、模様の判別までは届きません。晴れていても、月の高度が低いうちや薄雲がかかるときは、灰色の面から先に消えます。明るい弧を正面から見つめるより、そらし目で暗い側へ視線をずらすほうが、灰色の面は浮かび上がります。

双眼鏡で何が増えるか

双眼鏡では、灰色の面に濃淡が出てきます。暗い月の海の部分と明るい高地の差が、うっすらとした明暗の差として拾えるところまで増えます。輝いている弧を視野の端に寄せると、まぶしさが減って暗部の階調を追いやすくなります。手持ちで揺れる持ち方だと、この階調がいちばん先に失われます。拾えるのは海と高地の広い明暗までで、暗い側からクレーターの粒立ちまで出てくることはありません。

ほかの星との見分けかた

同じ「暗いのに光る」でも、月暈は月のまわりの空が光る現象で、地球照は月の面そのものが光ります。赤い月とも別物で、皆既月食が起こるのは望のときだけです。双眼鏡の内部反射でできる薄い光も似ますが、月を視野の外へ動かすと消えるので切り分けられます。地球照が見られるのは新月をはさんだ細い月の数日で、望とはちょうど反対の時期です。色でも分かれ、浮かぶ面は灰色のままで、赤みは差しません。

よくある勘違い

月が自分で光っていると受け取られがちです。暦計算室「暦Wiki 月の満ち欠け」は、月は自ら光る天体ではなく太陽の光を反射していると書いています。地平線近くの月が赤みを帯びるのは大気の散乱、大きく感じるのは同室が月の錯視と呼ぶ錯覚で、どちらも地球照とは別の話です。灰色に浮かぶ暗い側も同じで、そこで光っているのは地球が返した太陽の光です。月そのものが弱く発光しているわけではありません。