放射温度計
測る道具
触れずに、その面から出る赤外線の量から温度を読む測器です。空へ向けると、雲があるときと無いときで読みが大きく変わり、曇天では雲底の高さの見積もりに使われています。
何が見える・分かる道具か
物に触れず、面から出ている赤外線の量で温度を読みます。空へ向けると読みは大きく動き、晴れた天頂は氷点下の深いところまで下がり、雲が覆うと雲底に近い値まで上がります。岐阜大学教育学部の加藤靖葉・森本真紀『放射温度計観測による空の温度と雲底高度の関係』は、雲量8以上の曇天なら、この読みと地上気温の差を乾燥断熱減率で割って雲底の高さを見積もれるとしています。層雲の底のような、目では測れない高さが数字になります。
選ぶときに見るところ
まず確かめるのはどこまで低い温度を読めるかです。晴れた空は氷点下の値になるので、−50℃前後までの範囲が要ります。次に視野角で、距離と測定範囲の比(12対1のように書かれます)が大きいほど、遠くの狭い範囲だけを読めます。空は相手が遠いため、比の小さい型では周りの建物まで測定の輪に入り、積雲ひとつを狙い分けられません。放射率を0.1から1.00の間で変えられる型なら、雲や地面と相手ごとに合わせ直せます。
使うときの注意
読めるのは見かけの温度で、上空の気温そのものではありません。空の放射率は1ではなく水蒸気や塵の量で動くため、同じ気温でも値が変わります。太陽本体に向けて測らないこと、双眼鏡と同じく太陽へレンズを向けないことも守ります。窓ガラスは赤外線をほとんど通さないので、室内から窓越しには測れません。屋外に出した直後は本体が周りの温度になじんでおらず、10分ほど置いてから読みます。
無いときの代わり
通風乾湿計で気温と露点を測れば、雲のできはじめる高さの目安が出ます。差を125倍した値が、地表から持ち上げられた空気が飽和する高さのおよその位置です。空の冷え方だけを知りたいときは、露や霜の付き方が手がかりになります。風が弱く雲の無い夜ほど地面から出た赤外線が戻らず、同じ気温でも草の上が先に冷えます。数字にはなりませんが、雲があるかどうかとの対応は同じ向きです。