夕焼けは晴れ

空の色と光の言い伝え

見ているのは、西の空の雲の少なさです。低い太陽の光が長い大気の道を通って青い側が散らされ、残った赤が届くには、西側が開いている必要があります。

どう言われているか

気象庁 秋田地方気象台は、一般のことわざを並べた欄の先頭に「夕焼けは晴れ、朝焼けは雨」を置き、根拠のあるものの代表として本文でも取り上げています。海上保安庁 留萌海上保安部が平成6年に編集された資料からまとめた全国共通の欄にも「夕焼けは一般に好天気、朝焼けは反対」があり、西の空が晴れていることを示すものと説明されます。対になる朝焼けは雨と一組で伝わってきました。

空で実際に起きていること

太陽高度が低いほど、光が大気を通る道は長くなります。その道の途中で波長の短い青い側から先に散らされるため、目に届く光は赤い側に偏ります。気象庁『気象観測の手引き』も、遠くの明るい光源が煙霧を通すと赤みを帯び、暗い物体は青みがかって見えるのは粒子による散乱だと書いています。西の空に雲と水蒸気が少ないほどその赤は遮られず、夕焼け・朝焼けは濃く出ます。

どこまで当たるか/どんなときに外れるか

秋田地方気象台はこの言い方に、「春と秋ではよいのですが、夏と冬にははずれることがあります」と自ら注記を付けています。当たる側を支えているのは日本付近の気圧系が西から東へ動いてきたという長い観測で、留萌海上保安部の資料も天気東遷という語でこの筋を説明します。夏の対流は西から来るとは限らず、冬は日本海側で雲が育つ季節にあたります。

この言い伝えが見ている雲・現象

見ているのは、西の空にどれだけ雲と粒があるかです。同じ赤でも、煙霧や黄砂で日中から白く濁った空の赤みは、気象庁『気象観測の手引き』が大気じん象として別に立てた現象で、この言い伝えの対象ではありません。近くの火事から立つ火災積雲の煙も同じで、焼けている場所と、濁っている理由を先に分ける必要があります。