猫が顔を洗うと雨

音・生きもの・体の言い伝え

猫の仕草には、空とつながる道が見つかっていません。顔を洗う動きは食後や起き抜けに一日何度も出るグルーミングで、雨の日だけ増えると確かめた観測が見当たらないためです。

どう言われているか

気象庁 秋田地方気象台は、天体・動物の欄に「猫が顔を洗う(耳をこする)と雨」を挙げています。耳をこするところまで書き添えられているのは、仕草の細かい形まで目印にされてきたあらわれです。家の中で毎日見られる動物なので観察の機会が多く、全国に広がりました。季節と場所に縛られる雨がえるが鳴くと雨と違い、こちらは一年中どこでも見られます。

空で実際に起きていること

顔を洗う動きはグルーミングで、猫が体を清潔に保ち毛並みを整えるための日常の行動です。食後、起き抜け、人に触られたあとなど、きっかけは一日のうちに何度も訪れます。湿気でひげが垂れるから顔をこするという説明も添えられますが、湿度とこの仕草の回数を数えて結びつけた観測は見当たりません。仕草を呼んでいるのは空模様ではなく、猫の一日の区切りのほうです。

どこまで当たるか/どんなときに外れるか

当たり方の中身は、回数の差にあります。一日に何度も起きる行動と、数日に一度しか降らない雨を突き合わせれば、関わりがなくても重なる日が生まれます。重なった日は言い伝えの例として語られ、外れた日は数えられないので、当たったという印象だけが積み上がります。雨の日と降らない日で仕草の回数を数え分けて比べるのでなければ、確かめる方法が残りません。

この言い伝えが見ている雲・現象

向いている先は空ではなく、猫の生活のほうです。同じ動物の言い伝えでも、ツバメが低く飛ぶと雨は虫という餌の高さを介して地面の近くの空気につながる道があり、こちらにはその道が見つかっていません。しくみをたどれるか、たどれないかが、動物にまつわる言い伝えを分ける境目です。当たらない側を残すのは、この分かれ目を示すためです。