巻層雲

十種雲形

高さ: 上層(5〜13km)

空が薄い白のベールに覆われ、太陽のまわりに輪が出ます。気象庁『気象観測の手引き』が「日のかさ、月のかさ現象を生ずる」と書く、氷の結晶でできた上層の膜です。

どう見えるか

気象庁『気象観測の手引き』の言い方は「薄い白っぽいベールのような層状の雲で陰影はなく、全天をおおうことが多く、普通、日のかさ、月のかさ現象を生ずる」です。膜が薄いので青空の色が透け、地上の影も消えずに残ります。繊維状の構造が見えるものと、のっぺりした一様な膜の両方があり、どちらも陰影を持ちません。空全体が白く濁って見え、先に出ていた巻雲の筋がその膜に溶け込んでいることもあります。

どこにできるか(高さ・どの雲に付くか)

高さは5kmから13kmの上層で、巻雲と同じ欄に載ります。手引きの上層雲の状態は、この雲が全天をおおっている段階をCH-7、増加せず全天をおおっていない段階をCH-8として別の符号に分けています。膜は片側の空から広がってくることが多く、巻積雲の粒が崩れてつながった面も、同じ雲として記録されます。

なぜその形になるか

正体は上層に一様に広がった氷の結晶です。空気の層がゆるやかに持ち上がると広い範囲が同時に飽和し、粒に分かれない一枚の面になります。内暈が出るのもこの氷晶が理由で、六角柱の氷晶に入った光が60度の角をなす二面で曲げられ、太陽から半径22度の輪をつくります。輪が見えることは、粒が水滴ではなく氷であることの印になります。

似た雲との分け方

決め手は暈です。手引きは高層雲を「日のかさ、月のかさ現象を生じない」と書き分けており、輪が出ればこちら、出ずに太陽がすりガラス越しにぼやけていれば高層雲になります。確かめるときも太陽本体を直接見ない、双眼鏡を太陽に向けないのが先で、建物や電柱の陰に太陽を隠し、そのまわりの空だけを見ます。輪の内側の空が外側よりやや暗く見えるのも、暈に伴う見え方です。

この雲が出ている空で起きていること

上層に氷の雲が空一面に広がっている状態です。この一面の広がりは、温暖前線が近づくときの空として古くから記録されてきました。言い伝えの「太陽に暈がかかると雨」が見ているのもこの膜で、暈そのものは雲の粒が氷であることを示す印にとどまります。空の青みは失われて全体が白っぽくなり、地上の影の輪郭もゆるみます。膜が厚みを増して太陽の輪郭がぼやけ始めれば、記録は高層雲の側へ移ります。