巻積雲
十種雲形
高さ: 上層(5〜13km)
白く小さな雲片が、陰を持たずに群れて並びます。気象庁『気象観測の手引き』は大部分の雲片の見かけの幅を1度以下と定めていて、うろこ雲・いわし雲はこの雲の俗称です。
どう見えるか
雲片の見かけの幅が1度以下という細かさが決め手です。気象庁『気象観測の手引き』は「大部分の雲片の見かけの幅は1度以下である」と数字で線を引き、陰影はなく一般に白色に見えると書いています。並び方は同じ表の言葉で「うろこ状又はさざ波状」、部分的に繊維構造が見えることもあり、その部分は巻雲と地続きの姿になります。
どこにできるか(高さ・どの雲に付くか)
上層の雲で、手引きの表11-1が示す出現高度は5kmから13kmです。巻雲が広がって粒に分かれたところや、巻層雲の膜が波打ったところに現れます。全天をおおう一枚の膜にはならず、粒の群れとして空の一角を占めます。手引きの上層雲の状態でも、少量の巻雲や巻層雲を伴う形で記録されます。空の一角だけが細かい粒で埋まり、残りは青空のままという見え方も普通です。
なぜその形になるか
粒に分かれるのは、薄い層の中で小さな対流が立っているためです。下が暖かく上が冷える釣り合いになると、上がる場所と下がる場所が交互に並び、上がった所だけが雲になります。一つの粒の見かけの大きさは、対流している層の厚みと雲までの距離でおよそ決まります。粒が1度以下にとどまるのは、層が薄く、しかも遠いからです。同じしくみが低い所で働くと、粒はもっと大きく見え、高積雲の側に入ります。
似た雲との分け方
取り違える相手は高積雲で、分け方は雲片の見かけの幅と陰の有無の二つです。手引きは高積雲を「規則的に並んだ雲片の見かけの幅は、1度から5度までの間にあるのが普通である」とし、「普通陰がある」と書いています。腕をいっぱいに伸ばした小指の幅がおよそ1度、指三本の幅がおよそ5度という目安に当て、小指1本に収まって陰が無ければこちらです。
この雲が出ている空で起きていること
上層に湿った空気があり、そこで弱い対流が立っている状態です。日本では見た目から「うろこ雲」「いわし雲」と呼ばれ、漁の言い伝え「さば雲が出ると時化になる」もこの並びを見てきました。粒の並びは長くは保たれず、崩れて膜になれば巻層雲、粒が育って陰を持てば高積雲の側へ記録が移ります。手引きは上層雲の状態としてその移り変わりも記録の対象にしています。