契約不適合責任
契約と仕事の言葉
契約不適合責任は、納めたものが約束と違ったときの責任。
どういう意味?
納めたものの種類や品質が契約の内容に適合しないときに、作った側が負う責任です。債権法改正(令和2年4月1日施行)より前の民法は、請負の責任を「瑕疵」の語で書いていました。いまの条文(637条)が挙げる注文者の請求は、追完・報酬の減額・損害賠償・解除の4つです。契約どおりに作ったのに、注文者の好みで無償の直しが続く話とは別です。
どこで出てくるか
請負に近い契約の条項として並びます。請負と準委任の違いでいう請負の仕事では、種類や品質の不適合を注文者が知った時から1年以内に通知しないと、追完や減額などを請求できません(637条1項)。ただし引き渡したときに請負人が知っていたか、重大な過失で知らなかった場合は、この期限が使われません(同条2項)。1年の数え始めは検収の日でなく不適合を知った時です。条文は改正されうるので、最新の内容で確かめましょう。
使うときの注意
注文者の指図や供した材料が原因の不適合は、追完・減額・損害賠償・解除を請求できません(636条)。ただし請負人が指図を不適当だと知りながら告げなかったなら別です。公正取引委員会のQ&Aによると、フリーランス法が禁じる不当なやり直しは、受注者の責めに帰すべき事由がないのに受領後にやり直させることです。受領前に給付を確かめ、発注時の3条通知に書かれた給付の内容と合わないと合理的に判断できれば、費用を持たずに変更させて問題ないとされます。
出典
- 公的機関 民法(e-Gov法令検索) 民法 第636条(請負人の担保責任の制限)
- 公的機関 民法(e-Gov法令検索) 民法 第637条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
- 公的機関 公正取引委員会 Q&A(フリーランス・事業者間取引適正化等法)Q82 給付の内容が委託内容と適合しない場合のやり直し
- 公的機関 法務省 民法の一部を改正する法律(債権法改正)について
- 資料 法律情報基盤 民法636条(~2019年)の旧条文
解説動画: 民法 債権編#31 「契約不適合責任」解説 【宅建・行政書士・公務員試験対策】/動画で民法がわかーる。【行政書士試験対策】
契約どおりでない、とは: 契約に適合しないものが納められたときの責任で、債務不履行責任を細かくしたものという位置づけ。不適合になるのは種類・品質・数量の3つ。頼んだのと別の作り手のやかんが届いた、新品を頼んだのに汚れたものが来た、3つ頼んで2つしか来ない——この種の食い違いが当たる。
買い手が取れる四つの手: 追及の方法は追完・代金減額・損害賠償・解除の4つ。後ろの2つは債務不履行で決まっていることがそのまま効いて、損害賠償は売り手に責任がある場合だけ。いっぽう解除は責任がなくてもできる。この責任は債務不履行の問題でもある、と押さえるとつながる。
追完請求で何を求めるか: 求められるのは修補・代わりの物・足りない分の引渡しのいずれか。汚れたやかんなら、きれいにさせても別の物を出させてもよく、どれで直させるかは買い手が選べる。ただし売り手は、買い手の負担が重くならない範囲なら別の手段で対応してよい。買い手側に原因がある不適合では請求できない。
減額はいきなり言えない: 代金減額は、原則として先に期間を定めて追完を求め、それでも直らないときに使う。例外は、追完が不可能なとき、売り手が応じないと明言したとき、その日時を過ぎると意味がないとき。きちんと対応してもらえないなら、いきなりの減額請求もありと考えるとよい、とまとめている。
通知の期限と免責の特約: 種類と品質の不適合は、知った時から1年以内に「不適合があった」と通知しないと追及できなくなる。通知さえすればよく、その間に請求まで終える必要はない。数量は見れば分かるので期限はない。責任を負わない特約も結べるが、問題を知りながら告げなかったなら、やはり責任は残る。