水温を選ぶ
浸す
動かすもの: 温度
浸す水の温度を記録する工程で、水温が高いほど吸水は速く進みます。同じ時間を計っても夏と冬では到達点が違い、農林水産省も30℃の水は5℃より短い時間で飽和するとしています。
図: 浸した時間と、米が吸う水の進み方
檜作進(1970)の実測(20℃)。2時間で自重の20〜30%を吸い、30分でその約65%に達する。曲線は測った2点(30分・2時間)を通る形で描いたもので、その間の各点を測った値ではない。水温が下がるほど到達は遅くなる。
何が起きているか
季節で浸す時間が変わる理由は、日付ではなく水温です。水温が高いほど吸水は速く飽和に近づきます。浸漬中は酵素も働き、農研機構は1〜16時間の浸漬で還元糖が増えると報告しています。浸水は夏30分・冬2時間が季節の話に見えるのは、水温という条件が書かれていないからです。記録には、時間と水温を並べて書きます。
動かす数字
農林水産省は水温30℃以下でのうるち米の吸水率を20〜25%程度とし、30℃は5℃より短時間で飽和するとしています。還元糖を作る酵素の至適温度は、農研機構によると米粒外縁部で40℃付近、胚乳中心部で60℃付近。檜作進 1970 は夏と冬の水温差を20℃ほどと見ています。数え方は浸漬吸水率の測定、時間は浸すに置きます。
台所での測り方
浸す水に温度計を挿して、張った直後の温度を書き留めます。冷蔵庫の水・水道水・ぬるま湯で三点そろえると、同じ時間でも仕上がりが違うことを確かめられます。浸すの時間だけを並べた記録は、水温の欄がない限り読み直せません。湯を足して温度を作る場合は、注いだ直後に計ります。浸漬吸水率の測定も、水温を書いたうえで比べるものです。
よくある失敗
40℃前後の湯に長く置くと、冷蔵庫で浸すで避けている浸漬中の細菌増殖の側に寄ります。酵素が働く温度帯は、同時に菌が増えやすい温度帯でもあります。湯を使うなら短い時間にとどめ、長く浸けるなら温度を下げる、と分けて決めます。水温の記録が無いと、原因を時間の側に押しつけることになります。