梅干し
具
梅干しを入れると、おにぎりが傷みにくくなるかは、測った資料が見当たりません。弁当が傷まないという言い伝えはありますが、梅酢のフェノール成分が腸内細菌科の菌を実験で抑えた報告は、おにぎりの飯の中で同じことが起きるかを測ったものではありません。梅干しには、市販品を測った報告で有機酸(リンゴ酸・酢酸・クエン酸など)が含まれます。
何が変わるか
梅干しは、梅を塩に漬けた具で、塩分と有機酸を含みます。塩分の量は漬け方と製品で違うため、飯側に振る塩の量と合わせて見る必要があります。農林水産省の弁当の案内は、温かいうちに詰めないこと・冷蔵庫か涼しい所に置くこと・早めに食べることを挙げ、梅干しには触れていません。有機酸が飯のどこまで届くかは、今回探した範囲では測られていません。届く範囲を、おにぎり全体に広げて語らないことが要点です。
分かっていること
梅酢(梅干しを漬けた液)のフェノール成分は、腸内細菌科の菌の増殖を抑えたと報告されています。ただし効いたのは1,250〜5,000µg/mLという比較的高い濃度で、その濃度が梅干しのおにぎりの飯の中でどうなるかは測られていません。梅干しを入れたおにぎりの傷みを、入れないものと比べた報告は見当たりません。市販の梅干し3点を測った報告では、リンゴ酸・酢酸・クエン酸などが検出されています。
分かっていないこと
今回調べた範囲(Europe PMC・J-STAGE・OpenAlex)では、梅干しを入れたものと入れないものを同じ温度と時間で置いて菌数を比べた報告は見当たりませんでした。酸が飯のどこまで届くか、pHの距離を測った報告も、見当たりませんでした。塩をつけて握ると傷みにくいと同じく、抗菌や防腐の効果として書ける段階にはありません。
どう測れば分かるか
同じ飯で具だけを変えた二つを、同じ温度・同じ時間で置きます。接触面と外周から飯を別々に採ってpHを測れば、酸の届く範囲が距離として出ます。採る位置を細かく刻むほど、境目ははっきりします。飯側に振る塩の量をそろえておくことも条件のうちです。測れるのは届く範囲までで、菌数の判定は自分で行わず、厚生労働省と自治体の資料に返します。測る側の条件をそろえるほど、言い伝えの輪郭は細くなります。
出典
- 論文・英語 Mitani T ほか(Biological & Pharmaceutical Bulletin)(2018) Antimicrobial Activity of the Phenolic Compounds of Prunus mume against Enterobacteria
- 論文 岩﨑啓子・出口雄也・長岡恵・長岡寛明・野村秀一(2010) 高速液体クロマトグラフィーを用いた梅干し中の有機酸、アミグダリン及び安息香酸関連物質の一斉検出
- 公的機関 農林水産省 お弁当づくりによる食中毒を予防するために
解説動画: 【プロ直伝】 専門店のふかふか【おむすび 】の作り方 人気おにぎり店の作り方と普通のおにぎりの作り方をプロの料理人が解説! 三角と丸のおにぎりの作り方も公開/料理人設楽の料理道場
時間を置くなら冷ます: 動画は最初に、握ってすぐ食べるなら熱々のままでよいが、時間を置くなら必ず一度冷ましてから包むと言います。熱いままラップやアルミで包むことが傷む原因になるという理由づけで、食べるまでの時間によって手順が分かれます。常温で持ち歩くときだけ、冷ます一段が増える形です。
海苔は炙って使う: 海苔はつるつるした面が表、ざらざらした面が裏で、縦の筋と平行に切ると切りやすいと示します。湿ってぱりぱりでなくなった海苔は、2枚重ねにして中火でさっと炙ると香りが戻る。重ねると炎が逃げるので焦げにくく、やりすぎると燃えると注意も付きます。安い海苔でも香りは立つ、という言い方でした。
種を取って中へ入れる: 具の梅干しは先に種を取っておきます。飯120gのうち蓋のぶんを取り分け、真ん中に穴を開けて梅干し3分の1ほどを入れ、取り分けた飯をかぶせてから形にする。手袋はゴムではなく薄いビニールのほうが飯が付きにくいそうです。包んだあとで海苔の上に梅干しを一つ乗せ、中身が外から分かるようにしていました。
塩は量って振る: 塩は握ったあとに外から振ります。動画が示すのは飯120gに対して塩0.8gという具体の値で、手で振ってもよいと添えながら、実際に秤に載せて量って見せるところが、ひとつまみで済ませる他の手順書と違います。この項目でいえば、塩の量をひとつまみで済ませずに数字で置いた、数少ない例になっています。
握らずに結ぶ: ぎゅっと握らない、崩れるくらいがちょうどよいと繰り返します。米粒どうしが結びついた状態をおむすびと呼び、いまの専門店はふわふわで崩れやすいこの形が主流だと述べます。三角は右手で角を作り左手を底辺にする昔ながらの握り方も並べて見せ、どちらも握る強さは軽くと結びます。