昆布の佃煮

昆布を醤油と砂糖で煮詰めて入れる具です。煮詰めて水分を減らした作りなので日持ちしますが、それは佃煮の側の話で、おにぎりが常温でどれだけ持つかは置いた時間と気温で決まります。

何が変わるか

昆布を醤油と砂糖で煮詰めた具です。煮詰めるほど水分が減り、糖と塩の濃度が上がるという作り方をしているため、他の具より日持ちする形になっています。汁気があるまま入れると飯へ移るので、切ってから包みます。量が多いと接触面が広がり、その面で飯どうしがつながらず、まとまりにくくなります。佃煮の水分は商品ごとに違うので、同じ量でも移る水は変わります。

分かっていること

糖と塩を高い濃度で含むと水分活性が下がり、微生物が使える水が減ります——保存食の作りとして言えるのはここまでです。佃煮そのものが、飯や離れた具まで保存するわけではありません。持ち歩けるかどうかは常温で持ち歩くの時間と気温で決まります。水分活性は食品の中の水がどれだけ動けるかを表す値で、佃煮が低いことと飯が低いことは別の話です。

分かっていないこと

市販の佃煮の水分活性は商品ごとに違い、おにぎりに入れた状態で接触面の飯の水分活性がどう動くのかを測った公表資料は見当たりません。汁気をどこまで切れば飯がゆるまないのかも、入れてよい量の上限も、数値で示した資料に行き当たりませんでした。数えた資料が無いので、切る・切らないの判断は手ざわりに任されています。商品ごとの差の大きさも、比べを難しくしています。

どう測れば分かるか

汁気を切る前と後で具を量り、包む前後で飯も量ります。移った水分がグラム単位で出ます。汁気の切り方は、紙の上に置く時間で数えられます。味の差として出るかは三点識別試験法で先に確かめ、分かる場合だけ硬さをテンシプレッサーで追います。具の量と飯の量、包材も一つに固定して回します。2時間後まで見れば、ゆるみが汁気か老化(β化)かを分けられます。

解説動画: おにぎり、ご飯に!和食屋さんが教える昆布の佃煮の作り方/勢麟/おうちで一流レシピ【食通】

砂糖の水で戻す: 作り方は、水750mlに砂糖30gを溶かすところから始まります。多く作るなら昆布と同量の砂糖。白砂糖だと甘さがきつく感じるので、黒砂糖などミネラル分の多いものを使うと述べます。溶けたら酢を大さじ1入れ、この液に昆布を入れてラップをし、冷蔵庫で2日寝かせます。酢をしっかり入れるとどんな昆布でも柔らかく煮上がる、というのが一番大事なところだとしています。

醤油は後から: 戻す液に濃口醤油を先に入れてはいけない、と釘を刺します。浸透圧の関係で砂糖がいちばん入りにくいので、醤油が先だと醤油の味だけが中に入るからです。醤油20mlは火をつけてから加えます。この時点では味をひどく薄く感じるが、汁がなくなるまで炊くので最後に合う、と説明します。

四角にそろえる: 2日置いてふやけた昆布は、先に鍋へ戻し汁だけを移してから包丁します。形は好きにしてよいとしつつ、和食屋では正方形にそろえて切ることが多いと述べます。ぬめりが出ていて手を切りやすいので注意。見栄えを気にするなら、最初に全部を同じ大きさに切っておくのがよいとしています。

汁がなくなるまで: 沸くまでは強火、沸いたらふつふつと沸く程度に落とし、30分から1時間で汁が完全になくなるように炊き上げます。30分より短い時間で汁を飛ばすと昆布が硬いまま残るので、必ず30分以上かけると釘を刺します。途中で水を足してもよいが、その前に弱火にして目を離さないこと。

戻し汁だけで炊く: 汁が減ったところで鰹節10g。大事なのは昆布を戻したその水で炊き上げることで、他に入れてよいのは鰹節ぐらいだと言います。汁が尽きるとパキパキと音が変わるので、そこからは鍋を動かし続け、飛ばしきる手前で火を止めます。ここで飛ばした水の量が、常温で持ち歩くあいだに飯へ移る水の側に効いてきます。