無機ヒ素
米の構造
土壌から米に移る微量成分で、ぬか層に多く含まれます。農林水産省の調査では、国産の玄米が平均0.13、精米が平均0.09mg/kgと報告されています。コーデックス委員会の最大基準値は精米0.2、玄米0.35mg/kgです。
何が起きているか
土壌から米に移る微量成分です。ぬか層の部分に多く含まれるため、精米すると濃度が下がります。農林水産省の令和4〜6年産の調査では、玄米で平均0.13mg/kg・最大0.37mg/kg、精米で平均0.09mg/kg・最大0.23mg/kgと報告されています。玄米は白米より無機ヒ素が多いが指しているのはこの差です。調査は産年ごとに行われ、結果が公表されています。
何によって変わるか
産地の土壌や栽培の条件で変わり、産地品種銘柄から読み取れる値ではありません。国際的にはコーデックス委員会が最大基準値を精米0.2mg/kg、玄米0.35mg/kgと勧告しており、農林水産省は前回調査より濃度が低下したことを確認しています。カドミウムのほうは食品衛生法で0.4mg/kg以下という基準が定められ、ぬか層の話とは別に管理されています。
よくある勘違い
「玄米は危険」も「日本の米なら気にしなくてよい」も、どちらも数値を超えた言い換えです。書けるのは含有量と基準値の関係までで、食品安全委員会は特定の食品に偏らない食べ方を基本としています。玄米のフィチン酸がミネラルを奪うと束ねて不安の側へ寄せるのも、玄米は消化が悪いと混ぜるのも、別の話を重ねることになります。数値と基準を並べるところで止めるのが、この図鑑の書き方です。
台所での意味
台所で操作できる要素はほとんどありません。海外では、沸騰した湯に米を入れてから湯を捨てて炊くPBA法で、玄米54%・白米73%の除去が報告されています。ただしこれは炊飯器にまかせる日本の炊き干し法とは別の手順で、実際に濃度を下げているのはぬか層を落とす精米のほうです。日本の炊き方でこの手順を再現する必要があるかは、基準値との関係から読むことになります。
解説動画(海外・英語): Arsenic in Rice - Is it a Problem? Doctor shares cooking method to reduce Arsenic levels in rice./The Habits Doctor
なぜ米に多いか: 動画はまず、ヒ素が環境や水や食品から誰にでも入ってくるものだと置き、穀物・果物・野菜・魚介の中でも米と米の加工品が摂取源として大きいほうだと述べます。米は育て方の関係で他の作物よりヒ素をため込みやすく、土壌や灌漑用水が汚染された土地ではとくに高くなると説明し、ライスミルク、ぬか層、乳児用の米シリアル、米菓、玄米シロップを例に挙げます。
どこまで言えるか: 次に動画は、ヒ素とその化合物がグループ1に分類されているという位置づけを挙げ、問題になるのは長い年月の曝露だと言います。一方で明確に結びつけた研究は多くないとも断り、そのうえで摂る量はできる範囲で減らしておくのが妥当だ、というところに話を置きます。断定と無視のどちらにも寄らない置き方です。
地域による差: アジアでこの話題が大きくならない理由を、動画は3つ挙げます。米国と欧州の米はアジアの米のおよそ2倍というデータがあること、報道で扱われる量が違うこと、そして主食である以上食べる量を減らす選択肢が取りにくいこと。シンガポールの食卓を例に、減らす先を量ではなく炊き方のほうに置くと続けます。
湯で炊いて捨てる: 動画が挙げる研究では、米に対して6〜10倍の水を使い、パスタをゆでるように炊いて、好みの硬さになったところで余った湯を捨てると、ヒ素が50〜60%下がったとされます。水の比が大きいほど下がり幅も大きく、10対1は6対1より減るという言い方で、湯を捨てて炊く手順の形で示します。
炊き干しでは残る: 一方、水を少なめにして炊飯器にまかせるような、水分を飛ばしきる炊き方では、よく洗っても炊く前とほとんど変わらないと動画は述べます。分かれ目は洗う回数ではなく捨てる湯があるかどうかだ、という整理で、日本の炊き干しはその湯が出ない側にあたることが、この項目を台所の話として読むときの前提になります。