ぬか層
米の構造
ぬか層は、玄米の表面を覆う層で、玄米の吸水を遅らせる可能性が推察されています。精米後も、ぬかはわずかに残ります。ビタミンやミネラルのほか、檜作進が総説で糊化を抑えるとしたリン・カリウム・マグネシウムなどの無機質を多く含みます。分づき米は削るほど、この層由来の食物繊維・脂質・無機質が減り、白米に近づきます。
何が起きているか
玄米の表面を覆う層で、ビタミンやミネラルのほか、リン・カリウム・マグネシウムなどの無機質を多く含みます。檜作進は1970年の総説で、外層に多いこれらの無機質がでんぷんの糊化(α化)と膨潤を抑え、老化(β化)を促すと述べています。老化については、米を使わず植物の抽出液で調べた自分たちの実験を挙げ、無機質によると考えています。Jiaら2024は長粒米の精米で、食物繊維とビタミンB1が減ったと報告しています。
何によって変わるか
Liら2025は削る度合いを0〜22%に振り、果皮は6.6%、種皮と糊粉層を合わせた層は9.2%、糊粉層は15.4%の米で取り除かれていたと報告しています。削るほど無機質・食物繊維・脂質・タンパク質・アミロースは減りました。著者らは、削りすぎは栄養価を下げ、食味を高める効果は限られるとし、糊粉層の細胞壁が一部残る米は炊飯と官能の評価が高かったとしています。分づき米は途中で搗きとめた米です。
よくある勘違い
「ぬかを落とすのはにおいのため」という言い換えは半分だけです。檜作進は、丁寧に洗うと米の無機質もかなり溶け出すと推測しています。力を入れてしっかり研ぐかどうかは別で、農林水産省が紹介する貝沼やす子ら1990年の比較実験では、研ぐほうが米は砕けるものの飯の食味の総合評価に有意差はなく、古米では研ぐと酸化した脂質が除けて食味の改善が期待できるとされます。
台所での意味
森井沙衣子は3品種で、20℃・30分の吸水率をキヌヒカリの精白米20.1%・7分づき米16.6%・玄米3.4%と測り、玄米は4時間でも吸水が平衡に届かなかったと報告しています。玄米が硬いときは加熱より玄米を浸す時間を先に見ます。玄米は外皮に覆われ、外皮の吸水率や伸展性が影響する可能性を森井は推察しています(確かめてはいません)。分づき米は玄米と白米のいいとこ取りは、削る度合いで残る層が違う点から読みます。
出典
- 論文・英語 Li Jら(2025) Effects of degree of milling on bran layer structure, physicochemical properties and cooking quality of brown rice
- 論文・英語 Jia Xら(2024) Physicochemical and Morphological Changes in Long-Grain Brown Rice Milling: A Study Using Image Visualization Technologies
- 論文 森井沙衣子(2021) 炊飯における浸漬に関する研究
- 論文 檜作進(1970) 炊飯とでんぷんの老化
- 公的機関 農林水産省 米の調理特性
解説動画(海外・英語): STRUCTURE AND COMPOSITION OF RICE GRAIN/FOOD TECHNOLOGY
籾殻という外側: 動画は米粒を外側から順に見ていきます。いちばん外の籾殻は籾の重さの2割ほどを占め、セルロース・リグニン・ケイ素が多い層で、虫やカビ、機械的な傷から中を守り、水分が逃げるのを抑える役だとされます。食べる部分ではないので脱ぷで取り除き、そこで玄米になると説明します。
ぬかは重なった層: 玄米の表面を覆うぬかは1枚ではなく重なった層だと述べます。外から果皮、種皮、その内側の珠心という薄い膜、そして胚乳に接する糊粉層。糊粉層は生きた細胞が一層だけ並んだもので、タンパク質・ビタミン・ミネラルが多く、胚に栄養を送る役だとされます。米ぬか油の出どころもこの層です。
胚乳と胚芽の中身: 胚乳は粒のおよそ7割を占め、でんぷんが9割、タンパク質が6〜8%で、でんぷんの粒が米のタンパク質の網の中に埋まっていると説明されます。ここが白米として食べる部分で、米粉やでんぷんの原料にもなると述べます。胚芽は2〜3%しかない一方、2割前後が脂質で、粒の中でいちばん油の多い部位になります。
搗くと何が減るか: 精米はまず籾殻を落として玄米にし、次にぬか層と胚芽を削って胚乳だけにする工程だと整理されます。ぬかは粒の8〜10%でタンパク質・ビタミン・油に富み、磨きの段階では糊粉層まで落ちるため、削るほどそのぶんが減り、白米は玄米よりビタミンB群が少ないと述べます。灰分として挙がるのはリンやカリウム、マグネシウムです。
胚芽を落とす理由: 胚芽を削るのは、脂質が酸化や加水分解で劣化して日持ちを縮めるためだと説明されます。水分も同じ見方で、14%を超えるとカビの危険が上がるため12〜13%あたりが保存の目安。最後は中身が品種・精米の度合い・保存の条件で変わると述べ、どこまで搗いた米なのかに戻ります。