アミロース
でんぷん
多いほどごはんが硬く粘りが少なくなる成分です。でんぷんを作る2種類の分子のうち枝分かれのない方で、うるち米では17〜23%、もち米では0%とされます。実る時期の気温で年ごとに動くため、品種ごとの固定値ではありません。
何が起きているか
でんぷんを作る2種類の分子のうち、枝分かれのない直鎖のほうです。残りは枝分かれの多いアミロペクチンで、うるち米では17〜23%がアミロースとされます。農林水産省は多いほど米飯が硬く粘りが少なくなると説明しており、老化(β化)の進みやすさにも関わります。測るにはヨウ素比色法によるアミロース定量が使われます。粘りの強さを語るときに、最初に挙がる成分でもあります。
何によって変わるか
品種で決まる部分が大きく、うるち米の17〜23%に対しミルキークイーンやスノーパールのような低アミロース米は3〜17%程度、もち米は0%とされます。ただし農研機構は、登熟期の気温が低いとアミロースは多くなり、高いと少なくなると説明しており、同じ品種を同じ産地で作っても作柄年によって粘りが動きます。同じ銘柄でも産年が違えば、数値は同じになりません。
よくある勘違い
「この品種はアミロース◯%」と固定値で言い換えるのは誤りです。含量は登熟期の気温で年ごとに動き、品種名から一意の数値は決まりません。同じ品種なら産地が違っても同じ味という言い方が崩れるのもここです。低アミロース米はもちもちしておいしいも食感の話にとどまり、体への働きへは接続しません。数値を挙げるときは、その値がいつ測られたものかまで見る必要があります。
台所での意味
粘りと硬さ、冷めたときの変化を語る説の多くはここへ帰着します。近赤外分光の食味計が推定している項目の1つでもあり、食味値が高い米はおいしいを読むときの手がかりになります。数値を見るときは産年と測定方法をあわせて確かめ、ヨウ素比色法によるアミロース定量のような測り方の違いも押さえておく必要があります。同じ品種名でも、年が違えば別の数値になります。
解説動画(海外・英語): Polysaccharides - Starch, Amylose, Amylopectin, Glycogen, & Cellulose - Carbohydrates/The Organic Chemistry Tutor
多糖という分子: 動画はまず、糖の単位が1つなら単糖、2つなら二糖、多くつながったものが多糖だと整理します。でんぷんは植物にある多糖で、エネルギーを蓄えるのがおもな役割だと説明され、じゃがいもがその例に挙がります。植物のでんぷんは2種類、アミロースとアミロペクチンに分けて見るところから始まります。
直鎖のつながり方: アミロースはグルコースが枝分かれのない一本の鎖につながった形だと述べます。つなぐのはα1,4グリコシド結合で、動画は左のグルコースの1番炭素と、隣のグルコースの4番炭素が結ばれるところを図で示します。アミロースが持つ結合はこの1種類だけだ、というのがこの節の結論です。
αとβの見分け: グルコースにはαとβの2つの形があると説明し、1番炭素のOH基が下を向いていればα、上を向いていればβだと見分け方を示します。図に描かれたアミロースのグルコースはどれも下向きなのでα型で、だから結合の名前もα1,4になる、という順で、名前の由来まで戻して説明しています。
枝分かれの結合: アミロペクチンは主鎖に加えてときどき枝が分かれる構造だと述べます。まっすぐな部分をつなぐのは同じα1,4結合ですが、枝の付け根はα1,6グリコシド結合で、6番炭素に別の糖の1番炭素がつながる。結合を2種類持つところが、1種類しかないアミロースとの違いになります。
結合が働きを分ける: 動物側のグリコーゲンはアミロペクチンと同じくよく枝分かれした多糖で、結合も同じ2種類だと並べます。一方セルロースはβ1,4結合で長い繊維を作り、蓄えるためではなく植物の体を支える役に回る。同じグルコースでも結合の向きと位置が変わるだけで役割が分かれる、という締めです。