翼果

花と実の見方

羽の生えた実は、果皮そのものが薄く伸びた翼です。熟しても裂けず、風を受けて回りながら落ちる乾いた実で、カエデの二つつながった実が代表です。

何を指す言葉か

翼果は、果皮の一部が薄く平たく伸びて翼になった、熟しても裂けない乾いた実です。裂けずに種子を包んだまま落ちる実を閉果と呼び、翼果はその一つにあたります。翼は種子から出たものではなく果実の壁そのもので、そこが種子の側に毛や翼を持つ型との分かれ目です。福原達人『植物形態学』は8-2の風で運ばれる実の項に、果皮由来の翼を持つ例としてカエデとアキニレを挙げています。

どこを見れば分かるか

羽の付け根が実のどこから出ているかを見ます。翼が実の外壁からそのまま続いて薄く広がっていれば翼果で、別の葉や苞が添えられているだけなら違います。カエデ類は二つの実が付け根でつながり、翼がハの字に開きます。トネリコ類は細長い一枚の翼が実の先へ伸び、アキニレやニレ類は円い翼の中央に種子が一つという形です。一つ拾って光にすかすと、翼の薄さと種子の位置が同時に読めます。

これが分かると何が引けるか

秋に足元へ落ちてくるものだけで、見上げる木を絞れます。街ではトウカエデやイロハモミジ、ユリノキ、シマトネリコ、アキニレが翼果を落とします。取り違えやすいのがケヤキで、実そのものに翼は無く、小枝ごと落ちて、その枝の小さな葉が羽の役をします。シナノキも苞が翼になる型なので、翼果とは分けて数えます。翼の付き方が読めれば、葉の落ちた時期でも並木の見当がつきます。