亜硫酸臭

におい

つんと鼻を刺す方のにおいです。卵の腐ったにおいとは別の語として、鉱泉分析法指針は分析書の臭いの欄に書き分けさせています。

どう見えるか・どう感じるか

鼻の奥を刺すような、とがったにおいです。マッチをすった直後の煙に近く、硫化水素臭の卵に似た重さとは感じ方が違います。分析書では臭いの欄に「亜硫酸臭」と書かれ、指針5-2 はこれを硫化水素臭とは別の語として並べています。強いと目や喉にしみることがあります。においの立つ場所も違い、湯面よりも湯気の中や、噴気地帯から引いた配管のそばで強く感じられます。

何がそうさせているか

二酸化硫黄が湯や噴気から出ているためです。硫黄は水素イオンの多さと酸素の量によって形を変え、酸化の側へ進んだところでこの気体が現れます。水に溶ければ亜硫酸となり、さらに酸化されると硫酸イオンになって、においを持たない形へ落ち着きます。同じ硫黄から出発しても、還元の側では硫化水素、酸化の側ではこちらへ分かれ、硫酸塩泉の数値はその行き着いた先を示します。

出やすい泉質

酸性泉の側で記録されやすいにおいです。療養泉としての限界値は水素イオン1mg/kgで、液性の区分では湧出時 pH3未満が酸性、3以上6未満が弱酸性と呼ばれます。硫黄と酸の両方を持つ湯、とりわけ噴気を引き込んだ湯で書かれ、肌のぴりぴりする刺激と一緒に並ぶことがあります。酸性と書かれた湯がみなこのにおいを持つわけではなく、においは酸の強さと硫黄の量の両方から出てきます。

時間と空気でどう変わるか

酸化の行き先にある物質なので、空気に触れても硫化水素ほど素早くは消えません。ただし二酸化硫黄は水に溶けやすく、湯を張って置くあいだに気体の側から湯の側へ移っていきます。加水や加温の工程を通れば薄まって語と合わなくなり、掲示のにおいが浴槽で分からないこともあります。においの記録は分析を終えた時点の源泉のもので、今日の浴槽のものではありません。

どこまで確かめられているか

確かめられているのは、指針が語を分けて置いているところまでです。現場ではどちらも硫黄のにおいがすれば硫黄泉?という形で一括りにされ、どの語で記録するかは分析した人の判断に委ねられています。語の強さから濃度は逆算できません。二酸化硫黄そのものは大気の測定で常時測られている気体で、機器で測る手立ては別にありますが、浴室の空気を測った公表値は多くありません。