溶存物質計
成分の欄
溶存物質計は、この紙でいちばん多くのことを決める行です。温泉かどうか、療養泉かどうか、浸透圧の区分、塩類泉かどうかが、すべてこの一つの数字から分かれていきます。
分析書のどこに書いてあるか
分析書の5、試料1kg中の成分のハの並びに置かれた行で、見出しは「溶存物質(ガス性のものを除く)」です。上の陽イオン計と陰イオン計に、非解離成分のメタけい酸やメタほう酸を加えた合計がここへ集まり、単位はg/kgかmg/kgで書かれます。足されるのは重さの列だけで、ミリバルの列は合流しません。鉱泉分析法指針(平成26年改訂)の例示は12.91g/kgと入れています。
何を表す数字か
湯1kgに溶けている、ガスを除いた成分の合計です。温泉法上の温泉の別表はこの総量が1000mg以上あることを判定の一つに挙げ、療養泉の定義でも同じ値が境になります。1000mgに満たず泉温25℃以上なら単純温泉、超えればイオンの主成分で名の付く塩類泉の側です。浸透圧の区分も8g/kg未満が低張性、8から10g/kgが等張性、10g/kg以上が高張性と、この行だけで決まります。
読むときの手がかり
泉質名の括弧に出る浸透圧の語は、ここから来ています。この行を読めば、浸透圧・液性・泉温の併記の三語のうち一つは自分で確かめられます。単位はg/kgとmg/kgが混じるので、桁を取り違えないことが先です。例示の12.91g/kgは12910mg/kgにあたり、温泉法の限界値の十倍を超えています。8g/kgの線をまたぐと、同じ泉質名でも括弧の中の語が変わります。
よくある誤読
蒸発残留物の数字をここへ持ってこないことです。鉱泉分析法指針の脚注は「蒸発残留物の値を溶存物質(ガス性のものを除く)としないこと」と、名指しで断っています。蒸発残留物は湯を煮詰めて量った重さで、この行は表から積み上げた合計です。もう一つは成分総計との取り違えで、あちらは気体まで足した値です。合計に見える数字が三つあり、判定が見ているのはこの行だけになります。