蒸発残留物

成分の欄

蒸発残留物は、湯を煮詰めて残った物の重さです。成分の表とは別の欄にあり、括弧の中には、乾かしたときの温度が添えられています。

分析書のどこに書いてあるか

成分の表ではなく、4「試験室における試験成績」のヘにあります。4は持ち帰った試料を試験室で量った成績をまとめた枠で、密度や試験室で測ったpH値と同じ並びに入るため、5の成分の欄をいくら探しても見つかりません。見出しの括弧には乾燥温度が入り、環境省の温泉分析書様式は110℃、指針の例示は180℃を使っています。

何を表す数字か

試料を蒸発乾固し、決めた温度で乾かしたあとに残った物質の重さです。水と、加熱で飛ぶ成分が抜けたあとの残りにあたるため、溶けていた量のおおよその見当が付きます。指針7-1は量り方を二つに分け、懸濁物ごと量る全蒸発残留物と、ろ過してから量る溶解性蒸発残留物を書き分けています。前者には湯の花のように浮かんでいた固形分まで入り、溶けていたものだけを数えるとは限りません。

読むときの手がかり

まず括弧の温度を確かめます。同じ湯でも乾かす温度が変われば、結晶水や飛びやすい成分の残り方が変わり、値も動きます。110℃の紙と180℃の紙を並べて差を論じても、それは湯の違いとは限りません。温度の書かれていない紙では、他の紙と数字を並べる前提が欠けます。全蒸発残留物か溶解性蒸発残留物かも、濁りのある湯では差になります。電気伝導率と同じく、量の見当を付けるための数字です。

よくある誤読

この値を溶存物質の欄に読み替えないことです。指針7-1は「試料の溶存物質の目安となるが温泉法で規定している溶存物質とは異なる」と明記しており、溶存物質計とは求め方も、含まれる範囲も違います。温泉法や療養泉の判定に使われるのは表から積み上げた合計のほうで、蒸発残留物はあくまで目安です。二つが近い値になることはありますが、近いことと同じであることは別です。