アルギニン

アミノ酸

アルギニンは、一酸化窒素をつくる準必須アミノ酸

役割

一酸化窒素の直接の材料になるアミノ酸で、体内でも作れますが成長期や強いストレス下では必要量が増える準必須アミノ酸に分類されます。血管拡張や成長ホルモン分泌への関与がよく語られますが、男性ボディビルダー50人を対象にした試験(Atharら、2026年)では、1日3gを45日間摂ってもテストステロンは上がった一方、成長ホルモンとコルチゾールは変わりませんでした。

摂り方

口から摂ると小腸と肝臓で分解されやすく、健康な成人20人が参加した二重盲検の試験(Schwedhelmら、2008年)では、同じ量ならシトルリンのほうが血中アルギニン濃度を効率よく上げ、一酸化窒素の指標も改善したと報告されています。目安は1回3〜6gをトレーニング前ですが、血流やパンプを狙うならシトルリンを主役にするか、併用したほうが実用的です。

注意点

一度に多く摂ると胃腸がゆるみやすく、空腹時は特に出やすくなります。培養細胞の実験(Griffithら、1978年)では、アルギニンの割合が多いとヘルペスウイルスの増殖が進んだと報告されており、再発しやすい人は注意が必要です。5件の試験を統合した2026年のメタ分析(Shiら)では、アルギニンの摂取で24時間の収縮期血圧が平均4.2mmHg下がっており、降圧薬を使っている方は作用が重なることがあるため、医療者に相談してください。

出典

  1. 論文・英語 Schwedhelm E ほか(2008) Pharmacokinetic and pharmacodynamic properties of oral L-citrulline and L-arginine: impact on nitric oxide metabolism
  2. 論文・英語 Griffith RS ほか(1978) A multicentered study of lysine therapy in Herpes simplex infection
  3. 論文・英語 Shi Y ほか(2026) Reassessment of the effect of oral l-arginine on blood pressure: A systematic review and meta-analysis based on ambulatory blood pressure monitoring
  4. 論文・英語 Athar SS ほか(2026) The combined effect of L-arginine and Vitamin C supplementation on nitrogen balance, body composition, maximal oxygen uptake, and anabolic-catabolic hormones in male bodybuilders

解説動画: 【NO系サプリ】シトルリン、アルギニンについて医学的に解説します【筋肉、勃起、血管拡張】/高須幹弥(高須クリニック)

どんな場面で使われるか: アルギニンはサプリメントとして単体で売られているだけでなく、エナジードリンクや筋トレ前のプレワークアウトドリンクにも配合されている。動画は同じくNO系サプリと呼ばれるシトルリンと並べ、いろいろな用途や目的で摂られている成分として解説を始める。話し手自身もこの手のサプリを日頃から使っていると前置きし、案件ではないと断ったうえで話を進めている。

一酸化窒素が生まれる回転: シトルリンは腎臓などの組織でアルギニンに変換され、そのアルギニンが再びシトルリンに変換されるときに一酸化窒素が発生する。放出された一酸化窒素は体内に出て血管を拡張させ、血流を良くする。NO系サプリと呼ばれるのはこの回転があるためで、一酸化窒素そのものにも免疫システムの調節や神経伝達物質としての機能があると説明している。

単体では吸収も持ちも弱い: どちらを摂るべきかという問いに、動画は主にシトルリンと答える。理由のひとつは吸収で、アルギニンは摂取したあと腸での吸収率が悪い。さらに肝臓で分解されやすく血液中でも分解されやすいため、メインに据えても血中濃度を上げにくく、効果も短くなってしまう。シトルリンのほうが吸収がよく肝臓でも代謝されにくい、という比べ方をしている。

アルカリ性なので量に注意: もうひとつの理由が性質の違いで、シトルリンが中性なのに対しアルギニンはアルカリ性。そのため大量に摂ると胃や腸の粘膜が荒れたり、下痢をしたりすることがあるという。話し手が使っている市販品もシトルリンが主体でアルギニンは少量という配合で、それで胃腸の不調は出ていないと話している。胃腸の弱い人はシトルリンだけでもよいとも述べている。

少量を足して1時間ほど前に: ただしシトルリン単体で摂るより、両方を同時に摂るほうが血液中のアルギニン濃度が効率よく上がり、血流改善の効果も高いという研究データがある。割合には諸説あるとしたうえで、1対1でも、シトルリン主体にアルギニンを少し足す形でもよいとしている。摂ってから血管が広がるまでは30分から90分ほどかかるため、筋トレなら1時間ほど前に飲むのがよいと結ぶ。