BCAA
アミノ酸
BCAAは、分岐鎖の3種に絞ったアミノ酸
役割
バリン・ロイシン・イソロイシンという3種類の分岐鎖アミノ酸をまとめたもので、なかでもロイシンが筋たんぱく合成のスイッチを入れる働きで知られます。筋トレ経験のある若い男性10人が運動直後にBCAA5.6gだけを飲んだ日は、プラセボの日より4時間の筋原線維たんぱく合成が22%高くなりました(Jackmanら、2017年)。ただし測ったのは合成の速さで、筋肉が増えたかではありません。
摂り方
1回5〜10gを、トレーニング中に水へ溶かして少しずつ飲むのが一般的です。合成が高まった試験の飲み方は、運動直後に5.6gを1回だけでした(Jackmanら)。3種だけでは、筋肉づくりに要る必須アミノ酸9種がそろいません(筋トレ系チャンネルの Jeff Nippard)。どちらかを選ぶなら、9種そろうEAAのほうが材料としては完全です。
注意点
3種類だけでは筋肉を作る材料としては足りません。空腹時にBCAAだけを摂ると、ほかの必須アミノ酸は筋肉の分解からしか得られず、合成の増え幅は理論上約30%までにとどまります(Wolfe、2017年)。筋肉痛が減る可能性はあるものの、筋力・持久力・体組成への効果は一貫しません(22件の試験をまとめた2025年の系統的レビュー)。足すなら食事とプロテインを整えたあとにします。
出典
- 論文・英語 Wolfe RR(2017) Branched-chain amino acids and muscle protein synthesis in humans: myth or reality?
- 論文・英語 Jackman SR ほか(2017) Branched-Chain Amino Acid Ingestion Stimulates Muscle Myofibrillar Protein Synthesis following Resistance Exercise in Humans
- 論文・英語 Julea M, Saleh SN(2025) The Effect of Oral Pure Branched-Chain Amino Acid Supplementation on Exercise Performance and Body Composition: A Systematic Review
- 動画・英語 Jeff Nippard The Worst Supplements Everyone Takes For Muscle Growth (Science Explained)
解説動画: BCAAとEAAはどちらを飲むべきか(山本義徳が解説)/山澤礼明【筋肉チャンネル】
概要: BCAAとEAAのどちらを飲むべきかという質問に、山本義徳はEAA単体を選ぶのがベストと答えている。理由は、両方を飲むと合計量が同じでもEAAの量が足りなくなるため。たとえば1回15gと決めているのに、そのうち8gをBCAAに割いてしまうと、材料として必要なアミノ酸が不足する。量の目安は体重60kg前後なら15g、80kg前後なら20gほどとしている。
BCAAは引き金であって材料ではない: BCAAの働きは筋タンパク合成の引き金、つまりシグナルを与えることで、筋肉そのものの材料にはならない。筋肉を作るには必須アミノ酸がすべて必要なので、合成のスイッチだけが入って材料が血中にない状態になると、体は他の部位の筋肉を分解して材料を取り出そうとする。腕を鍛えているのに脚の筋肉を崩して腕へ運ぶ、といったことが起こりうると説明している。
減量中の空腹時にBCAAだけを飲むのは危ない: 減量中の空腹時に、水にBCAAを溶かして飲む人は多い。しかしこの場面では合成だけを促して分解が進んでしまう可能性があり、かえって材料が減る方向に働きかねない。同じ状況ならBCAAよりホエイプロテインのほうがよく、20種類のアミノ酸がすべて摂れてEAAも含まれるため、材料としても引き金としても機能する。
BCAAを使うならこの組み合わせ: BCAAが無意味というわけではなく、材料が別に用意されていれば使いどころはある。具体的にはトレーニングの60分ほど前にホエイプロテインを飲み、トレーニング中にBCAAを摂る形なら問題ない。2時間ほど前に肉や魚を食べておく形でも材料はあるが、ホエイのように吸収の早いものは血中アミノ酸の落ち方も早く、食事内容によって持続時間が変わる点には触れている。
EAAはトリプトファン入りを選ぶ: EAAを選ぶときの注意として、かつてアメリカでトリプトファンをめぐる事件があった影響からか、トリプトファンを含まないEAA製品が多いと指摘する。トリプトファンにも体にとって必要な働きがあるため、量は少なくても、トリプトファンが入っている製品を選ぶことを勧めている。