僧帽筋

上半身(背面)

僧帽筋は、首から背中の中央まで広がる三層の筋

位置

僧帽筋は、後頭部の外後頭隆起と上項線、項靭帯、C7から胸椎(T12まで)の棘突起から起こる平たい三角形の筋肉です。上部線維は鎖骨の外側3分の1の後ろ縁、中部線維は肩峰の内側縁、下部線維は腱膜を経て肩甲棘へ付きます。付く先が三つに分かれるので、線維の向きも層ごとに違います。解剖の解説動画(About Medicine)も、この三層の付き方を同じように説明しています。

はたらき

上部と中部の線維はほぼ横向きに走るため、一般に描かれる「肩甲骨を持ち上げる筋」とは違い、主な働きは肩甲骨と鎖骨を後ろへ引くことです。Johnsonらの解剖研究では、胸鎖関節のまわりに鎖骨を回すと、肩甲骨を持ち上げる働きも出ます。下部は肩甲骨を下へ引き下げ、上部は両側で首を後ろへ反らせます。About Medicine の解説では、中部と下部は肩甲骨を回して肩峰を持ち上げ、腕を90度より上へ上げるのを助けます。

鍛え方

Ekstromらの2003年の研究(健康な30人・10種目)では、片側ずつのシュラッグが、上部の活動で最も高く出ました。中部は肩を後ろへ水平に開いて外へ回す動き(フェイスプルに近い形)、下部はうつ伏せで腕を頭上へ挙げる動きが、同じ研究で最も高く出ました。筋電図は「どれだけ働いたか」を測ったもので、太くなったかは測っていません。

ストレッチ

上部は頭を反対側へ倒し、同じ側の手を体の後ろで軽く引き下げると伸びます。20〜30秒ずつ左右。中部と下部は両手を前に伸ばして背中を丸めると入ります。首を回しながら強く引くのは避け、痛みやしびれがあれば医療者に相談してください。

出典

  1. 論文・英語 Johnson G, Bogduk N, Nowitzke A, House D(1994) Anatomy and actions of the trapezius muscle
  2. 論文・英語 Ekstrom RA, Donatelli RA, Soderberg GL(2003) Surface electromyographic analysis of exercises for the trapezius and serratus anterior muscles
  3. 動画・英語 About Medicine Trapezius - Animated Actions + Anatomy
  4. 動画・英語 Bodyworks Prime Trapezius Anatomy: Origin, Insertion & Action

解説動画: シュラッグのやり方と重量選択、バリエーション/katochan33

シュラッグと僧帽筋: シュラッグは肩をすくめる動作で僧帽筋を鍛える種目。僧帽筋は上部と下部に分けて考えられ、上部は肩をすくめる動作で、ひし形の下側にあたる下部は肩甲骨を真後ろに寄せることで収縮する。広背筋は逆に肩を下に下げることで収縮するため、僧帽筋と広背筋は拮抗筋の関係にあると説明している。

重量選択と可動域: 動作は肩を真上に上げるだけで単純だが、大切なのは重量選択と可動域だという。可動域が狭いぶん重い重量を扱えるが、重すぎると可動域がさらに狭くなってしまう。投稿者はトップポジションで僧帽筋の収縮が感じられるギリギリまで重量を上げており、目安は160キロ前後。180キロになるとストレッチ感は分かるが、収縮している感覚が薄くなるという。

チーティングとケガ: 昔は足を思いきり使ったチーティングで220〜240キロを扱っていたが、肩甲骨の間あたりの筋を何度も痛めており、今は200キロを超える重量では行わず、やっても180キロまでに抑えている。腕で引き上げるのではなく、腕はぶら下げているだけで肩の力で上げるのが基本。バーが股に当たる場合は当たらない位置で行うか、軽くお尻を引いて上下させる。ただし重心が体から離れるぶん扱える重量は軽くなる。

バリエーション: 少しだけ前傾した状態から真上に上げると角度が変わり、僧帽筋のもう少し下の部分に効く。扱う重量は80〜100キロほどになる。リバースシュラッグは体の後ろでバーベルを持ち、お尻を前に逃がしてベントオーバーローイングのような形で肩甲骨を上に寄せる種目で、背中の上部の縦のラインを狙う。ダンベルは持つ位置を変えられるためバーベルより可動域を大きく取れ、スミスマシンは軌道が決まっていてチーティングが使いにくいぶん扱える重量は落ちる。

使い分けと肩甲骨のコントロール: デッドリフトや胸の種目で僧帽筋が筋肉痛のときは高重量のオーソドックスなシュラッグを避け、アップライトローイングやリバースシュラッグで背中寄りの部分を鍛えるという使い分けをしている。どのバリエーションでも、トップポジションで僧帽筋の収縮を感じられる重量で行うことが最も大切。ボディビルでは肩甲骨を上に持ち上げると僧帽筋が押し上げられて肩が盛り上がり、逆に下げて外に広げると背中が広く見える。肩甲骨をコントロールできると背中や僧帽筋の効かせ方が上手になる