大円筋
上半身(背面)
大円筋は、広背筋を助ける脇の下の小さな相棒
位置
大円筋は、肩甲骨の下角の後ろ面から起こり、ねじれながら脇の下を通って上腕骨の前面(小結節の稜)へ付きます。すぐ上の小円筋より大きく力が強いと、AnatomyZoneの解説は言います。回旋筋腱板には数えません。広背筋のすぐ上に重なり、脇の後ろのひだを一緒につくります。起始の下角は指で触れやすいとKenhubの解説は言います。
はたらき
腕を下ろす内転、後ろへの伸展、内側へ回す内旋の三つを担当します。Kenhubの解説も同じ三つを挙げています。肩の関節での動きは広背筋とほぼ同じで、筋腹や腱が混ざることもあると、Kenhubも言います。神経は下肩甲神経か胸背神経で、どちらも腕神経叢の枝です。発達すると脇の下に厚みが出て、背中の広がりが立体的に見えます。ただし広背筋と違い骨盤には付いていません。
鍛え方
懸垂(チンニング)やラットプルダウンでは広背筋と一緒に働き、単独で狙うのは難しいと、筋肉あるあるの動画は説明しています。握りは肩幅の1.5倍以上にし、体は垂直に保つと、大円筋の可動域が広がります。懸垂を始める前に肩甲骨を前へ出して脇の下を広げておくと、可動域を長く取れます。9人のロッククライマーの研究では、懸垂を動かして行うほうが止めて保つより大円筋の疲れが速く進みました(Bocciaら)。
ストレッチ
腕を頭上へ上げて体を反対側へ倒す、広背筋と同じ動きで一緒に伸ばせます。肩甲骨が前へ出るまで腕を上げ、脇の下がつっぱる位置で止めます。30秒ずつ左右。硬くなると腕を真上まで上げきれず、頭上へ押す種目で腰が反る代償が出ます。万歳をして腕が耳の横まで来ない人は、ここも一緒に確認してください。痛みが出る角度では無理に続けず、医療者に相談してください。
出典
- 動画・英語 Kenhub - Learn Human Anatomy Teres Major Muscle - Origin, Insertion & Action - Human Anatomy | Kenhub
- 動画・英語 AnatomyZone Teres Minor | Muscle Anatomy
- 動画 筋肉あるある 【筋トレ】背中に翼を授ける大円筋の鍛え方! 「デビルウィング」を手に入れろ!
- 論文・英語 Boccia G ほか(2015) Higher Neuromuscular Manifestations of Fatigue in Dynamic than Isometric Pull-Up Tasks in Rock Climbers
解説動画: ラットプルダウン3種のフォームとグリップの使い分け/ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】
使う筋肉と動作の考え方: ラットプルダウンで主に使うのは広背筋と大円筋。広背筋は骨盤のあたりから上腕骨まで広がる、体の中でもかなり大きな面積を持つ筋肉で、その脇の下あたりに大円筋がついている。したがってポイントは骨盤と上腕骨の距離を縮めたり伸ばしたりすること、つまり起始と停止を近づけたり離したりすることになる。
基本のフォーム: 手幅は真上に伸ばした手を円を描くように曲げてきた位置が目安。親指を掛けないサムレスグリップにし、小指や薬指の側で引くと広背筋を意識しやすい。常に胸を張って肩甲骨を下げた状態を作り、そこから腕を曲げるのではなく肘を骨盤の方へ寄せるイメージで引く。バーは鎖骨の少し下あたりまで下ろし、胸をバーに寄せるようにする。
ありがちな間違い: 肩が上がったまま腕だけで引くと広背筋が働かず、腕のトレーニングになってしまう。戻すときに肩甲骨の下制を忘れて肩ごと上がってしまうのもよくある間違いで、バーを戻す間も肩甲骨は下げたままにする。反動で上半身を後ろに引っ張ると重い重量を扱えているつもりでも広背筋に効かず、倒しすぎると角度が変わって他の部位に効きやすくなる。
グリップによる違い: 上から握るオーバーグリップは肩関節の内転で広背筋を収縮させ、アンダーグリップは肩関節の伸展の動きになる。アンダーは上腕二頭筋の関与が増えるぶんやや高重量を扱え、ストレッチ感も感じやすい。その分、二頭筋で引いたり三角筋後部を使ってしまいやすくなる。収縮を意識したいならオーバー、ストレッチ種目として行いたいならアンダー、中間のパラレルグリップは二頭の関与が少なく収縮もストレッチも中間になる。
ビハインドネック: 手幅を先ほどより少し広く持ち、少し前傾して首の後ろにバーを引く。肩甲骨が横斜めに開いたり閉じたりするため、広背筋に加えて僧帽筋の中部から下部あたりにも刺激が行きやすいので、背中に厚みを付けたいときに使うとしている。このとき背中を丸めてはいけない。使い方が分からないうちは高重量でやらず、軽い重量で肩甲骨を上げ下げする練習をしてから行う。