菱形筋

上半身(背面)

菱形筋は、肩甲骨を背骨へ寄せる姿勢の要

位置

小菱形筋は項靭帯とC7・T1の棘突起から、大菱形筋はT2〜T5の棘突起から起こり、肩甲骨の内側縁へ斜め下向きに付きます。僧帽筋の下に隠れていて直接は触れにくい位置ですが、肩甲骨を強く寄せると背骨との間に張りとして感じ取れます。肩甲骨の内側の鈍い痛みは、菱形筋ではなく上背の関節や首の下の神経からの関連痛のことも少なくないと、Tone and Tightenが述べています。

はたらき

肩甲骨を背骨側へ引き寄せ(後退)、下方回旋させます。その下方回旋が肩峰下インピンジメントを悪化させうると Fennell ら(2016)は述べています。胸を張った姿勢を後ろから支え、デスクワークで丸まった背中を戻す働きをします。肩甲骨を前へ滑らせる前鋸筋と綱引きの関係にあり、片方が弱ると肩甲骨の位置が崩れます。肩甲骨を胸郭に押し当てて安定させる働きもあります。

鍛え方

シーテッドローやベントオーバーローを8〜12回×3〜4セット、週1〜2回が目安と Jeremy Ethier は説明しています。各回の始めに肩甲骨を大きく開き、引くときは肩甲骨が後ろへ動くのを見ると、肩甲骨を引く働きに入りやすくなります。全部の回数が終わったあとは、腕を伸ばしたまま肩甲骨を開いて寄せる動きを4〜5回続けます。腕が先に動くと菱形筋は働きにくいので、重量は扱えるより一段軽いところから始めてください。

ストレッチ

両手を前で組み、背中を丸めて肩甲骨を左右へ開くと伸びます。20〜30秒を2〜3回。こりとして自覚しやすい場所ですが、張りの正体が筋力不足である場合、ほぐすだけではすぐ戻ります。伸ばした後に軽い引く種目で使い直すのが近道です。Tone and Tighten は、上背を動かす胸椎の屈伸と回旋を、ほかの運動の準備として挙げています。首や腕のしびれがあるときは、自己判断で続けず医療者に相談してください。

出典

  1. 資料・英語 Elsevier Rhomboid Major Muscle(Complete Anatomy)
  2. 資料・英語 Elsevier Rhomboid Minor Muscle(Complete Anatomy)
  3. 論文・英語 Fennell J, Phadke CP, Mochizuki G, Ismail F, Boulias C(2016) Shoulder Retractor Strengthening Exercise to Minimize Rhomboid Muscle Activity and Subacromial Impingement
  4. 動画・英語 Jeremy Ethier The ONLY 2 Exercises You Need For A Thicker Back
  5. 動画・英語 Tone and Tighten The REAL Fix For Rhomboid Pain [Not What You Think!]

解説動画: 巻き肩を戻すために胸を張って行う5種目/前田のまいにちセルフケア ! by GronG

概要: 巻き肩は、胸側の筋肉が硬くなったり姿勢を支える筋肉が弱くなったりすることで肩が前に出てしまう姿勢を指す。首こりや肩こりの原因になり、姿勢も悪く見えてしまう。対策には胸を張った状態でエクササイズを行うことがポイントだとして、五種目を順に紹介している。

Y字からW字を作って肩甲骨を寄せる: 一つ目は上半身でアルファベットのYとWを作る動き。正座、きつければ椅子に座って行う。背骨をまっすぐにして胸を張り、体を少し前傾させ、腕を大きく上げてYを作ったら肘を曲げて肩のあたりまで下ろしWを作る。10回。顎を引いて胸を張り、下ろした位置で深さをキープしたまま肩甲骨を寄せる

椅子に手をついて押す動き: 二つ目は椅子やソファなど少し高さのあるものに両手をつき、膝とつま先を床につけて行う。胸を張ったまま肘を曲げて体を椅子の方へ近づけ、手をついた位置にみぞおちが近づくあたりで折り返して押し戻す。顎は引いたまま、胸側を伸ばしながら10回繰り返す。

うつ伏せで背中側を鍛える: 三つ目はうつ伏せになり、つま先を立て、頭の後ろで肘を組む。肘を開いたまま上体を起こし、胸を床から離して10回。首の後ろからお尻まである脊柱起立筋を鍛えて、まっすぐな姿勢を保てるようにする狙い。動く幅は小さくてもよく、お腹に力を入れたまま繰り返す

横向きと座位の体幹キープ: 四つ目は横向きで肘を肩の真下に置き、膝を曲げて肘から膝までがまっすぐになるようにし、膝と肘で体を支えて持ち上げ20秒キープする。左右を入れ替えて行う。五つ目は座って脚を伸ばし、手を体の少し後ろについてお尻を持ち上げ、体を一直線に保ったままキープ。きつい場合は肘をついてもよく、呼吸は止めずに続ける