回旋筋腱板(ローテーターカフ)

上半身(背面)

回旋筋腱板(ローテーターカフ)は、肩の中心を支える四つのインナーマッスル

位置

棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の四つが、肩甲骨の背面と前面から起こり、上腕骨の骨頭へ腱となって付きます。上腕骨の骨頭を前後上から包む腱の板になり、表層の三角筋の下に隠れて外からは見えません。棘上筋だけは肩峰の下の狭いすき間を通ります。肩甲下筋だけが上腕骨の小結節に付き、ほかの三つは大結節に付きます(Memorize Medical)。

はたらき

四つは腕の骨頭を関節のくぼみ(関節窩)へ引き寄せ、腕を動かしても肩がずれないように支えます。棘上筋は外転(腕を横に上げる動き)、棘下筋と小円筋は外旋、肩甲下筋は内旋を担います(Memorize Medical)。どれか一つが緩むと骨頭が一方向へ引かれ、骨や腱に当たるインピンジメント症候群につながります(筋肉あるある)。

鍛え方

フェイスプルやチューブでの外旋を、肘を体側に固定して軽い負荷で15〜20回を目安に行います。外旋運動7種の筋電図を比べた2004年の研究では、横向きの外旋で棘下筋が62%、小円筋が67%(最大随意収縮に対する割合)と最も強く働きました(Reinold ほか)。重すぎるとアウターマッスルが先に働くため、2kgで15〜20回が限界になる重さを選びます(katochan33)。

ストレッチ

フラッグストレッチは、片手の甲を腰に当て、もう片方の手で肘を引き寄せる形です(筋肉あるある)。20秒ほど痛くない範囲で行い、左右を入れ替えます。痛みが出る角度では続けず、腱板断裂が疑われるときは医療者に相談してください。腱板断裂のある20人では、20%の力で30回の等尺性収縮を行ったあとに棘上筋の硬さが下がりました(Nasr ほか・2026年)。

出典

  1. 動画・英語 Memorize Medical(YouTube) Rotator Cuff Anatomy (Muscles, Actions & Insertions Made Easy)
  2. 動画 筋肉あるある(YouTube) 【筋トレ】ローテーターカフのすべてを置いてきた動画。
  3. 動画 katochan33(YouTube) 【保存版】肩のインナーマッスル(ローテーターカフ)の効果的な鍛え方!4種目のダンベルトレーニングや効かせるポイント等を徹底解説
  4. 論文・英語 Reinold MM ほか(2004) Electromyographic analysis of the rotator cuff and deltoid musculature during common shoulder external rotation exercises
  5. 論文・英語 Nasr AJ ほか(2026) Effects of resistance exercises on rotator cuff muscle mechanical characteristics in shoulders with and without rotator cuff tears

解説動画: 肩のインナーマッスル(腱板)の鍛え方と効かせるための極意/ゆるエビデンスの整形外科医 | 歌島大輔

腱板の役割: 腱板(ローテーターカフ)は肩のインナーマッスルで、一番大切な役割は安定化だと説明する。肩はもっとも脱臼しやすい不安定な関節でありながら幅広い方向に動くため、腱板がキュッと収縮して上腕骨を肩甲骨に押さえつけることで安定した状態が作られる。もう一つの役割が名前の通りの回旋で、軸を中心に回す動きを担う。表面のアウターマッスルは大きな力を出せる代わりに、動きは直線的で不安定になる。

先にインナーが働くことが大事: 動作の直前にインナーが先に働くことをフィードフォワードと呼び、これがあってはじめて肩を安定させた状態で動かせる。腱板の機能が落ちた人や腱板断裂の人、アスリートでも先にアウターが働いてしまうケースが多く、グラグラのまま動かされた腱板が無理に伸ばされて断裂や炎症、肩の痛みの原因になる。トレーニング中もアウターに力が入るとインナーがサボり、逆効果になりうる

三つの腱板と眠らせておく相手: 腱板は四つあるが、小円筋は棘下筋とほぼ同じ走行なのでその一部と考えてよいとして三つで解説する。棘上筋は肩甲棘の上にあって腕を上げるときに働くが、腱板の中でも特に薄く一番断裂しやすい。棘下筋は肩甲棘の下側に幅広くつき肩を外旋させ、肩甲下筋は肩甲骨の前側にあって内旋させる。棘上筋と棘下筋のときは三角筋、肩甲下筋のときは大胸筋を眠らせておきたいので、触って硬くなっていないか確かめながら行う

チューブでの三種目: 棘上筋は反対の足でチューブを踏み、横に30度、肩甲骨の傾きに合わせて前方にも30度の範囲で上げる。それ以上上げると三角筋が目を覚ましてしまう。親指を外側に向ける形と小指を上に向ける形の二通りを使う。棘下筋はドアノブなどに引っかけ、肘の位置を変えずに上腕を軸として外側へ回し、肩甲下筋は同じ形で内側へ回す。上げ下げは一秒以上かけてゆっくり行い、多くのメーカーで一番弱い黄色のチューブでよいが、スタート時点で緩んでいては意味がない。30回を毎日一〜三セットが目安で、痛みが出るならやめて肩専門の医師に診てもらう

アウターを緩めるための極意: 眠らせておきたい筋肉は、その反対方向へ軽く力を入れておくと緩む。棘下筋の外旋トレーニングでは、脇にタオルのようなものを挟んで軽く潰すつもりで内転方向に力を入れると三角筋が緩む。肩甲下筋の内旋トレーニングでは逆に、肘の外側を外へ引かれる力に抗って外転方向に力を入れると大胸筋が緩む。一方の筋肉が収縮すると拮抗する筋肉が緩むという神経の働きを利用した方法。肘の位置がぶれにくくなる利点もある