広背筋
上半身(背面)
広背筋は、背中を逆三角形に見せる最大面積の筋
位置
広背筋は、胸椎の下部(T7〜T12)の棘突起、胸腰筋膜、腸骨稜、下位の肋骨3〜4本、肩甲骨の下角という広い範囲から起こります。脇の下を通って上腕骨の前面にある結節間溝の底へ付きます。起始と停止の間が長く、腕と体幹の両方をまたぐ筋肉です。骨盤まで届くため、骨盤と腕をつなぐ筋肉とも言えます。腕を下げる力を入れると、脇の後ろが硬く張るのを触って確かめられます。
はたらき
広背筋は、腕を後ろへ引く伸展、体の横へ引き下ろす内転、腕を内へ回す内旋が主な仕事です。Bhattら(2013年)は、伸展した姿勢からの屈曲と、腕を横へ水平に開く動きにも関わると挙げています。Di Fonzaら(2026年)のレビューは、広背筋を引く種目で主に働く筋肉とし、背景として競技のパフォーマンス、けがの予防・リハビリ、上半身の見た目にも関わると挙げています。
鍛え方
懸垂ができるなら懸垂(チンニング)、難しければラットプルダウンを8〜12回×3セットで行います。Di Fonzaらのレビューでは、バーを体の前へ通すラットプルダウンが、広背筋の筋電図の大きさと最も一貫して結びついた(急性の筋電図で、長期の結果ではない)。Andersenらは、ラットプルダウンマシンで握り幅を肩峰間距離の1〜2倍に変えても、全体の広背筋の活動は似ていて、下ろす局面だけ広い握りが高いと報告しています。
ストレッチ
柱や高い位置のバーを片手で握り、腰を反対側へ落として脇を伸ばします。30秒ずつ左右2回。硬いと万歳をしたときに腰が反って代償し、腰の痛みの遠因になります。頭上へ挙げる種目が苦手な人は、まずここの硬さを疑ってみてください。
出典
- 論文・英語 Bhatt CR, Prajapati B, Patil DS, Patel VD, Singh BGP, Mehta CD(2013) Variation in the insertion of the latissimus dorsi & its clinical importance
- 論文・英語 Di Fonza D, Di Claudio G, Colantuono G, Persichini L, Cerulo N, Sangregorio B, Buonsenso A, Fiorilli G, Calcagno G, di Cagno A(2026) Electromyographic Analysis of Latissimus Dorsi Activation During Common Resistance Training Exercises: A Narrative Review
- 論文・英語 Andersen V, Fimland MS, Wiik E, Skoglund A, Saeterbakken AH(2014) Effects of grip width on muscle strength and activation in the lat pull-down
解説動画: ラットプルダウン3種のポイント/ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】
広背筋はどう使われるか: ラットプルダウンで主に使うのは広背筋と大円筋。広背筋は腰のあたりから上腕骨まで広がる、体の中でもかなり大きな面積を持つ筋肉で、脇の下あたりに大円筋が付いている。骨盤と上腕骨の距離を縮めたり伸ばしたりして働く筋肉だと先に押さえておくと、意識しにくい背中の種目でも狙いが定まる。
手幅と構え: 手幅は腕を真上に上げてから大きな円を描いて曲げてきた位置が目安。親指を握り込まないサムレスグリップにして小指・薬指側で引くと広背筋を意識しやすい。動作中は常に胸を張り、肩甲骨を下げた状態を作ってから引き始める。
引き方とよくある失敗: 腕を曲げて引くのではなく肘を骨盤に寄せるイメージで下ろす。バーは鎖骨の少し下まで下ろし、胸をバーに寄せるように引く。肩をすくめて腕だけで引くと腕のトレーニングになり、猫背になると背中の筋肉が使えない。戻すときも肩甲骨が肩ごと上がらないよう下げたままにし、反動で上体を後ろへ倒すのも避ける。
グリップによる違い: 上から握るオーバーグリップは肩関節の内転、下から握るアンダーグリップは肩関節の伸展の動きになる。アンダーは上腕二頭筋の関与が増えて高重量を扱える半面、二頭や三角筋後部に持っていかれやすい。ストレッチ感を得たいならアンダー、収縮を意識したいならオーバー、その中間がパラレルグリップという使い分けになる。
ビハインドネック: 首の後ろにバーを引く型で、手幅は前に引くときより少し広く取り、やや前傾して行う。肩甲骨が横斜めに開いたり閉じたりするため、広背筋に加えて僧帽筋の中部・下部にも刺激が入り、厚みのある背中を作りやすい。初心者はいきなり高重量でやらず、軽い重量で肩甲骨を上げ下げする練習から入る。