腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)
体幹
腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)は、上半身と脚をつなぐ唯一の筋
位置
腰の背骨から出る大腰筋と、骨盤の内側の面から出る腸骨筋が合流し、太ももの骨の内側の付け根に付きます。上半身と脚を直接つなぐ唯一の筋肉で、体の奥にあるため外から直接触るのは困難です。大腰筋の中でも、Parkら(2012)が座った健康な成人12人の筋電を測ると、横突起から出る束は体幹を反らす向き、椎体から出る束は曲げる向きの力で活動が大きく、同じ筋でも束ごとに役割が違いました。
はたらき
股関節を曲げて太ももを持ち上げる主役で、拮抗するのは股関節を伸ばす大殿筋です。Okuboら(2021)が健康な男性9人の膝を伸ばした脚上げを大腰筋に刺した電極で測ると、脚を上げきる位置に近づくほど筋電が増え続け、大腿直筋とは違う動きでした。Anderssonら(1995、7人)では、立ったまま反対の脚を後ろへ伸ばすとき腸骨筋が選択的に働くなど、大腰筋と腸骨筋は課題ごとに働き方が違いました。
鍛え方
レッグレイズや、脚を上げた位置で数秒止めるニーレイズが基本です。10〜15回を2〜3セット。腰を反らさず、みぞおち側を軽く丸めたまま動かします。9本の筋電研究を集めたJuanら(2024)のレビューは、腸腰筋が股関節を30〜60度曲げる範囲で次第に強く働くとしています。Imaiら(2017)のMRI(男性9人)では、5種目のうち大腰筋の変化が最大だったのはひじとつま先で支える前ブリッジでした。
ストレッチ
片膝立ちで後ろ脚側の股関節を前へ押し出し、20〜30秒を左右2回伸ばします。Preeceら(2021)が健康な男性23人の1回の伸ばしの前後を比べると、股関節を後ろへ倒せる角度が2.6度増え、骨盤の前傾は1.2度減り、腰の反りは変わりませんでした。Wattら(2011)の高齢者82人の無作為化試験(10週間)では、股関節屈筋を伸ばした群のうち股関節が伸びにくかった人で、歩幅と歩行中の股関節の伸びが増えました。
出典
- 論文・英語 Okubo Y, Kaneoka K, Hasebe K, Matsunaga N, Imai A, Hodges PW(2021) Differential activation of psoas major and rectus femoris during active straight leg raise to end range
- 論文・英語 Park RJ, Tsao H, Cresswell AG, Hodges PW(2012) Differential activity of regions of the psoas major and quadratus lumborum during submaximal isometric trunk efforts
- 論文・英語 Andersson E, Oddsson L, Grundström H, Thorstensson A(1995) The role of the psoas and iliacus muscles for stability and movement of the lumbar spine, pelvis and hip
- 論文・英語 Juan J, Leff G, Kevorken K, Jeanfavre M(2024) Hip Flexor Muscle Activation During Common Rehabilitation and Strength Exercises
- 論文・英語 Imai A, Okubo Y, Kaneoka K(2017) Evaluation of Psoas Major and Quadratus Lumborum Recruitment Using Diffusion-Weighted Imaging Before and After 5 Trunk Exercises
- 論文・英語 Preece SJ, Tan YF, Alghamdi TDA, Arnall FA(2021) Comparison of Pelvic Tilt Before and After Hip Flexor Stretching in Healthy Adults
- 論文・英語 Watt JR, Jackson K, Franz JR, Dicharry J, Evans J, Kerrigan DC(2011) Effect of a supervised hip flexor stretching program on gait in elderly individuals
解説動画: 腸腰筋を伸ばすストレッチの手順/美筋ヨガチャンネル
概要: 腸腰筋は上半身と下半身をつなぎ、股関節や骨盤の深い層に付いている筋肉。ここが弱くなると足は太くなり、腰は痛くなり、下腹が出ると説明する。まずは眠っているこの筋肉を起こすところからということで、うつ伏せから膝立ちまで姿勢を変えながらストレッチを重ねていく流れになっている。
うつ伏せから起こしていく: うつ伏せで足を軽く開き、手で床を押して上体を起こし、お腹の前から足の付け根までを伸ばす。きついときは肘を着いた高さでよい。お尻を軽く締めるほど前側が伸びる。肩がすくまないよう下げ、楽に呼吸しながらじわじわ伸ばす。次に片膝を前に持ってきて同じように起こすと、後ろ足側の付け根がさらに伸びる。
ねじりを足して強度を上げる: 四つん這いから片足を前、もう片足を後ろに引き、太ももを手で押しながら体を起こす。ここから太ももに乗せた手と反対側の手を上げ、体をねじってキープすると強度が上がる。腰に違和感が出たらねじりを弱めるか、肘を着いて角度を下げる。後ろ足の付け根を触ると硬く盛り上がっているのが分かる。
膝を伸ばす形と骨盤の動き: 後ろのつま先を立てて膝を伸ばし、顎を引いてかかとと頭で引っ張り合う。膝が緩みやすいので、膝裏で空気を押し上げるつもりで伸ばす。最後は両膝90度の膝立ちになり、親指を腰骨に当てて骨盤を後ろへ倒し、恥骨を持ち上げる動きを吸って緩め、吐いて締めながら繰り返す。
縮める側も確認する: うつ伏せから足を揃えてお尻をかかとに下ろし、おでこを床に着けて休む姿勢がきつく、お腹の下に空間が空いてしまう人は腸腰筋で縮める動きも苦手になっている。その場合はストレッチだけでなく、腸腰筋のトレーニングも合わせて行ったほうがよいと補足している。