ウォーミングアップから本番、クールダウンまでの順番と時間配分。
準備運動・本番・整理運動は、この順番を保つことに意味があります。準備運動は、体温と筋温を上げて血流と酸素の運びをよくし、関節を軽く動かして可動域を広げ、神経の伝わりを良くして力を出しやすい状態をつくるためのものです。心拍数と呼吸数を徐々に上げて心肺への急な負担を減らす役目も持つので、本番の直前にまとめて済ませず、段階を踏みます(長寿科学振興財団「健康長寿ネット」)。
準備運動の中の順番も崩さないほうがよく、まず足首・手首・腰・膝を軽く動かしてから、ジョギングのような全身運動で体を温め、ダイナミックストレッチで肩甲骨や股関節の可動域を広げます。スタティックストレッチを入れるのは筋温が上がったあとで、30秒程度の短時間にとどめます。60秒以上の長い静的ストレッチは柔軟性を高める一方でパフォーマンスをわずかに下げると、23件の研究をまとめたレビューが報告しています(Belliら、2026)。最後に本番の種目に近い動きへ移り、重い重さを扱う種目なら本番の重さより軽い設定で数セットのウォームアップセットを挟むと、本番の1セット目から力を発揮しやすくなります。ある実験研究は、ベンチプレスの前に本番の重さの30%・50%・60%・70%で1セットずつ計4セット行い、10分後に75%で本番に入る設計を使っています(Koźlenia、2026)。
本番のセット間に置く休みの長さも、目的によって変える余地があります。9件の研究・19の測定値をまとめたベイズ流メタ分析では、セット間を60秒を超える長さにしたほうが、短い休みより筋肥大の効果量がわずかに大きく、90秒を超えてもさらに伸びる傾向は明確には見えていません(Singerら、2024)。信用区間は広く部位ごとの差も大きいため、断定できる1つの秒数はありませんが、60〜90秒を目安にして、重い種目で息が整わないときはそこから延ばす、という決め方が無理のない範囲です。
本番を終えたら、スタティックストレッチとからだを緩めるリラクゼーションで整理運動に入ります(長寿科学振興財団「健康長寿ネット」)。筋温が高いこの段階は、準備運動で短く切った分の静的ストレッチを本来の長さで行うのに向いた時間です。準備運動と整理運動のどちらにもスタティックストレッチが出てきますが、置く場所によって役目が変わる種目だと覚えておきます。
出典
- 資料 長寿科学振興財団(健康長寿ネット) ウォーミングアップの目的と方法
- 資料 長寿科学振興財団(健康長寿ネット) 身体の調子を整えるコンディショニング
- 論文・英語 Belli I ほか(2026) How long should athletes with high range of motion demands stretch? Acute stretching durations for flexibility and performance: a systematic review
- 論文・英語 Koźlenia D(2026) First-Repetition Mechanical Performance Retention During Repeated Bench Press Following Standard- and Cambered-Bar Warm-Ups
- 論文・英語 Singer A ほか(2024) Give it a rest: a systematic review with Bayesian meta-analysis on the effect of inter-set rest interval duration on muscle hypertrophy

