ダイナミックストレッチ

有酸素・ストレッチ

器具: 自重 / 難易度: 初級

ダイナミックストレッチは、運動前に体を起こす動的な準備運動

効く筋肉

特定の筋肉を狙うより、股関節や肩甲骨など大きな関節を動かして可動域を広げるのが目的で、大殿筋やハムストリングスが主に動きます。Opplert ら(2018)のレビューは、可動域と、その後の筋力・パワー・スプリント・ジャンプへの好影響を示す証拠が多く、準備運動の狙いが可動域や力の向上なら、静的ストレッチの代わりになりうるとまとめました。

やり方

運動の前に、反動をつけ過ぎない範囲で関節を大きく動かします。脚の前後スイング、股関節を回すレッグクレードル、肩甲骨を回す動きなどを各10回ずつ行い、全体で5〜10分が目安です。健康な15人が30秒の動的ストレッチを4通りで行った実験(Takeuchi ら)では、直後にハムストリングスの筋力が増えたのは、速い動きでふつうの振り幅の条件だけでした。

フォームの注意点

勢いをつけた弾道的な動きは、制御した動的ストレッチより利点が小さいとされ(Opplert ら)、伸ばす時間・振り幅・速さで結果が割れる点も指摘されています。静的ストレッチを挟む準備運動は、そのあとに動的な動きを続ける形が勧められています(Behm ら)。軽い歩行や自転車で体を温めてから始め、痛みが出る角度まで押し込まず、気持ちよく動く範囲で回数を重ねます。

バリエーション・代替種目

運動前の静的ストレッチは、104研究のメタ分析(Simic ら)で筋力を5.4%下げ、45秒以下なら低下が最小でした。女子ハンドボール選手13人の実験(Zmijewski ら)では、動的のほうが自転車での全力スプリント5本の平均出力が、静的より3.3%、ストレッチ無しより3.0%わずかに高くなりました。運動後の整えにはスタティックストレッチを使います。

出典

  1. 論文・英語 Opplert J ほか(2018) Acute Effects of Dynamic Stretching on Muscle Flexibility and Performance: An Analysis of the Current Literature
  2. 論文・英語 Takeuchi K ほか(2022) Effects of Speed and Amplitude of Dynamic Stretching on the Flexibility and Strength of the Hamstrings
  3. 論文・英語 Behm DG ほか(2016) Acute effects of muscle stretching on physical performance, range of motion, and injury incidence in healthy active individuals: a systematic review
  4. 論文・英語 Simic L ほか(2013) Does pre-exercise static stretching inhibit maximal muscular performance? A meta-analytical review
  5. 論文・英語 Zmijewski P ほか(2020) Acute Effects of a Static Vs. a Dynamic Stretching Warm-up on Repeated-Sprint Performance in Female Handball Players

解説動画: 全身10種目で体を温めるウォーミングアップ/ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】

概要: 上半身から下半身まで全身10種目を続けて流していくウォーミングアップを実演する。首を左右前後に倒す動きから、肩の上げ下げ、肩甲骨を寄せる肩回し、腕を大きく回す動作、もも上げ、屈伸、股関節を開くスクワット姿勢、前ももとアキレス腱伸ばしまでを一続きで行う。体を動かしながら伸ばす動的ストレッチで、止まって伸ばす静的ストレッチとは目的が違うと説明している。

運動前は動的、運動後は静的: トレーニング前は体を動かしながら伸ばすダイナミックストレッチ、トレーニング後はゆっくり静かに伸ばしてリラックスする静的ストレッチ、という使い分けを勧めている。運動前に静的ストレッチを行うこと自体が悪いわけではないが、筋肉を引き伸ばしすぎると収縮しにくくなり、最大筋力を出すような種目では力が発揮しづらくなるため、反動を使って動かす形のほうがよいとしている。

温めるだけでなく神経を起こす: このウォーミングアップの狙いは関節や筋肉を温めることだけではないと述べる。体を動かすことで神経が刺激され、これから行う運動への伝達がよくなって最高のパフォーマンスにつながる。なんとなく動いてトレーニングを始めるより、しっかり準備運動を行ったほうがさまざまな筋肉組織を効率よく使えるとしている。

運動不足の人はこれ自体が運動になる: 普段トレーニングをしていない人は、この10種目を行うだけで全身を動かせるため、そのまま運動として続けてよいとしている。血行促進、肩こり解消、腰痛改善、冷え性の改善といった効果も期待できるとしており、トレーニング前の準備としてだけでなく、日課としても勧めている。